今を生きる私たちはどのような時代を歩み、そしてどのような未来に向かっていくのか。

日本は明治期の3400万人から2008年の1億2800万人まで人口を急増させ、社会の規模の拡大と成長を実現してきたが、現在の少子化の動向が大きく改善されない限りやがて2100年ごろには昭和初期の頃の人口規模に戻る見通しだ。

ただ、これは単純に昔の社会に戻るというわけではない。人口の構造が大きく異なる。

1920年当時は子供・若者(0~19歳)が46.2%、現役(20~64歳)が48.6%、高齢者(65歳以上)が僅か5.3%であったのに対し、2050年以降は子供・若者が1割、現役が5割、高齢者が4割を占める社会が常態化していく。

このようにゆっくりとそして大きく変わる社会の構造変化の中で、いわゆる「坂の降り方」が見えずに戸惑っているのが現状と言えよう。

こうしたなか、日本の未来にとって明らかに必要とされる重要な社会政策がある。それは、「生涯現役社会の実現」である。

年齢に関わらずいつまでも社会とつながり活躍し続けられる社会であり、直近の高齢社会対策大綱においても、目指すべき社会の優先課題の第一に挙げられている。

社会にとっては、人口減少下で一人でも多くの高齢者が社会の支え手として活躍されることが望ましいことは言うまでもないが、高齢者本人(個人)にとっても、年齢に関わらずいつまでも社会の中で様々な形で参加及び活躍し続けることの利点は大きい。

多くの既往研究からも社会とのつながりの継続は健康長寿に大きく寄与することが明らかであり、収入を得られる就労の形であれば経済的な安心にもつながる。

なお、生涯現役社会については、高齢になってまで働くことを強いるような趣旨では決してない。あくまで本人の意思や希望に叶う形で社会の中で活躍し続けられる社会を意図している。

■ 高齢者の社会参加ニーズの検討

ただ、ここからが問題である。これらのことは政策面あるいはメディアの発信等を通じても散々世の中で語られ続けてきているわけだが、そのような社会に変化(改善)してきているとは言い難い。

例えば、筆者が2023年に全国の65〜74歳男女3000名を対象に行った調査でも約半数(47.5%)は仕事も地域活動も行っていない。

もちろん健康面や家庭の問題(介護等)で活動できない、あるいは本人の意思で活動しない人も含まれるわけだが、活動したくても活動したいと思える選択肢(仕事や地域活動の場・機会)が見つからずできない人が多分に含まれていると思われる。

では、高齢者はどういう選択肢を望んでいるのか。どういう活躍の場を求めているのか。

社会の側がそのニーズをしっかり理解することが必要である。

もともと高齢者は多様であり、高齢期に何をしたいかといった社会参加に対するニーズも多様だが、それを決定づける主な要因は、「経済環境」、「経験・キャリア」、「健康状態」と考えている。

そこで、高齢者を次の3つの層に区分した。Ⅰ層は経済的に困っていない人。基本的に働く必要がない人だ。

逆にⅢ層は生計のために働くことが優先される人。その中間に位置するのがⅡ層であり、この層が大多数を占める。

これまで多くの高齢者と接してきた経験をもとにそれぞれの実態やニーズと活動の場の選択肢を挙げると、Ⅰ層は「健康」「お金(資産運用)」「楽しみ・自己実現」「社会貢献」等に関心が高く、仕事・地域活動に関わらず、自分に合った活動場所を見つけたいニーズが見られるなか、趣味・サークル、学習活動、ボランティアやイベント参加といった地域活動が求められやすい。

他方、Ⅲ層は、仕事の場を求めることが優先され地域活動までの余裕がない人が多い。

そして注目すべきがⅡ層であるが、当該層は、まだまだ活躍できるし“何かをしたい”が、そうした場や機会を見つけられないし、自分が何をできるかもわからない、という状況にある。

ただ、
①自分が役立てる、感謝されるような仕事や活動、
②マイペースで無理なくやれる仕事や活動、
③楽しみがある仕事や活動、
④通いやすい、参加しやすい仕事や活動が共通して確認されるニーズである。

このニーズに対する選択肢は幅広く考えられるものの、特に多くの声を聞くのが、次の2つの選択肢だ。

一つは、「福祉的就労」と称する就労とボランティアの中間に位置付けられるような仕事・活動である。

現役時代、勤める企業や団体のために精一杯働いてきたなか、リタイアした後はどちらかと言えば、人のため、社会のために協力できる、貢献できるような福祉的意味合いの強い仕事・活動だ。また負荷ができるだけ少ない「小さな仕事・活動」が好まれやすい。

もう一つは、「フリーランス」として活躍できる仕事や活動である。会社勤めだった人からは「もう雇用されたくない」という声が多く、より自由度高く活動するためにもこのパターンを求める人が多い。