(ブルームバーグ):アジア各国が、イランでの戦争によるエネルギー危機を乗り越えるため、ロシア産原油の購入を進めている。原油価格の高騰を抑えたい米国が、ロシアに対する制裁を一時免除したことを受けた動きだ。
フィリピンは約6年ぶりに、ロシアの東シベリア・太平洋(ESPO)原油の輸入を再開した。
韓国では、今年初のロシア産ナフサの貨物が大山港に到着し、荷揚げを待っていることが船舶追跡データで明らかになった。スリランカなど他の国々もロシアとの間で出荷について協議している。
日本も、戦争の長期化に伴いロシア産への転換を検討する可能性がある。外交面での影響を慎重に見極める必要はあるが、日本は原油や石油化学原料の確保を迫られており、すでにロシア産液化天然ガス(LNG)を輸入している。
米国とイスラエル、イランの間で続く戦争によって、アジア諸国は深刻なエネルギー不足に陥っている。ホルムズ海峡はほぼ全面的に封鎖され、アジアの製油所は代替となる原油や石油製品の確保を迫られている。
「他に選択肢はない。柔軟性に乏しい製油所ほど、中東産の代替として比較的容易に調達できるロシア産原油に最初に目を向ける」と、スパルタ・コモディティーズのシニア石油市場アナリスト、ジューン・ゴー氏は指摘した。
ロシアは今回の戦争によって恩恵を受けている。
原油価格が押し上げられたほか、米国が長年の輸出規制を緩和したためだ。2月下旬に始まった対イラン攻撃によって、ロシアによるウクライナ侵攻から国際的な注目がそれる結果にもなっている。

アジア各国は、制裁緩和によって利用可能となったロシア産の原油に向けて動いている。制裁の免除は、3月12日以前に積み込まれた貨物が対象で、1カ月間にわたり有効となる。
米国の措置は原油価格の上昇抑制を狙ったものだが、ロシアの収入を押し上げるとの批判も出ている。米国は、イラン産原油についても制裁を緩和したが、買い手が慎重姿勢を崩しておらず、効果は限定的にとどまっている。
韓国では今後、さらなるロシア産原油やナフサを確保できるかは不透明だ。米国の制裁免除が期限を迎える4月11日までに、荷揚げと決済を完了する必要があるためだ。YTNテレビが産業通商省当局者の話として伝えた。ナフサはプラスチック製造の主要原料であり、ガソリンへの混合にも用いられる。
制裁緩和の前は、アジアでロシア産原油を購入していたのは、主にインドの製油業者や中国の独立系精製業者に限られていた。制裁に抵触すれば、米国の金融システムへのアクセスを失うリスクがあったためだ。
現在も、インドと中国がロシア産原油の輸入の大半を占めている。インドは4月の受け取りに向けて、約6000万バレルを確保している。また今年に入り、中国の原油調達に占めるロシア産の比率は一段と高まっている。
原題:‘There’s No Other Choice’: War-Hit Asian Buyers Grab Russian Oil(抜粋)
--取材協力:Soo-Hyang Choi.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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