高金利環境を活用しつつ、プライベートクレジット市場でのデフォルト(債務不履行)を回避したい個人投資家に対し、ウォール街が新たな選択肢を提示している。ローン担保証券(CLO)に投資するファンドだ。

フランクリン・テンプルトンやベアリングス、フィデリティ・インベストメンツ、ジャナス・ヘンダーソンなどは最近、CLOの上位格付け部分に投資する上場投資信託(ETF)を相次いで発表した。

CLOは数百件のリスクの高い企業向けローンを裏付け資産としており、デフォルトが増加した場合でも最上位の投資家が損失を被るのは最後になるよう設計されている。

ローンのデフォルト懸念が高まる中、投資家は「ビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC)」と呼ばれる個人向けプライベートクレジットファンドから資金を引き揚げる一方、ETFへの資金投入を拡大している。

ドイツ銀行のアナリストによれば、米国のCLO上場投信への資金流入額は今年に入り90億ドル(約1兆4400億円)を超えた。1年前の同じ時期は約70億ドルだった。

ハイフン・ウェルス・マネジメントのサイラス・アミニ最高投資責任者(CIO)は、CLO上場投信とBDCを比較するなら、顧客の流動性を制限することなくリスク調整後の利回りを得られるCLO上場投信の方が魅力的になっていると述べた。

また、投資家が大幅な損失確定を避けようとしているため、上場BDCでも流動性が低下していると指摘。CLO上場投信への資金流入が非常に力強いことは、こうした投資判断が実際に反映された結果だとの見方を示した。

「Bloomberg Real Yield」

根強いインフレにより各国・地域の中央銀行は高金利政策の維持を余儀なくされており、レバレッジドローンの利回りを押し上げている。一方で、借り入れコストの高止まりが高リスク企業の財務体質を弱体化させている。

CLOの投資適格級部分は資本構造上の上位に位置するため、投資家は高い利回りを得ることができる一方で、デフォルトによる損失はよりリスクの高い下位の株式部分が吸収する。市場関係者の一部は、こうしたデフォルトの第1波はすでに始まっていると警告している。

理論上、この仕組みによって高格付けCLOの保有者は裏付け企業の破綻から守られる。ジャナスの証券化商品部門グローバル責任者ジョン・カーシュナー氏は、最下層の株式部分は実質的に10倍のレバレッジがかかっているため最初に損失を被るが、投資適格級のCLOはそうではないと説明した。

ETFを利用すれば、個人投資家や資産運用アドバイザーは公開市場で企業債務を容易に売買できる。ベアリングスは今月、投資適格から低格付け級までCLO債務全体に純資産の少なくとも80%を投資する新たなCLO上場投信を発表した。

ただし、届け出資料によると、ローンポートフォリオ全体としては投資適格級を維持する方針だ。

ベアリングスのCLOポートフォリオマネジャー、スティーブ・ペイジ氏は、「個人投資家がCLO債務の特性や運用実績に対する理解を深めるにつれ、市場はさらに成長する余地がある」と述べた。

損失拡大への警戒

CLO上場投信自体は数年前から存在しているが、最近は上位格付け部分を対象とする商品の拡大が目立っている。

戦争に起因するエネルギーショックでインフレが長引き、金利が高水準で長期間維持されるとの見方が強まっているためだ。高レバレッジ企業にとっては厳しい環境となる可能性がある。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ、PIMCO)はリポートで、クレジット損失サイクルが始まっていると警鐘を鳴らし、レバレッジドローンやプライベートダイレクトレンディング(直接融資)など質が低めのクレジットで損失が大幅に拡大するとの見通しを示した。

ピムコのダン・アイバシンCIOは、複雑な信用商品構造の急速な拡大は世界金融危機前の状況を想起させると警告した。AIインフラ向け資金需要の急増を背景に、こうした証券に過度に高い信用格付けが付与されている可能性があるという。

投資家心理

ドイツ銀のアナリストによれば、米国のCLO上場投信への資金流入額は6月第1週に7億4000万ドルに達し、2月第1週以来で最大の週間流入となった。

資金の大半は最上位格付け部分に向かっているが、ジェイミー・フラニック氏ら同行アナリストによると、「BBB」格付けのメザニンファンドもここ数週間で存在感を高めている。フラニック氏は、この市場セグメントが上昇していることは投資家心理にとって非常に前向きなシグナルだと述べた。

ETFへの資金流入拡大は、新規CLOへの需要を押し上げる可能性がある。今年は販売が減速しており、シンジケートローン型CLOの発行額は約580億ドルと、前年同期の約890億ドルを下回っている。

フラニック氏によると、こうしたファンドへの投資家需要が続けば、発行は年後半に加速する見通しだ。

魅力的な利回り

CLO需要に回復の兆しが見られる一方、プライベートクレジット市場は逆風に直面している。評価額への懸念や、ソフトウエア企業向け融資がAIによる事業環境変化に脆弱との見方から、個人投資家は1-3月(第1四半期)に約200億ドルの資金引き揚げを求めた。

こうした状況により、一部投資家にとってはCLO上場投信の魅力が高まっている。BDCの方が高い利回りを提供することが多いにもかかわらずだ。

フランクリン・テンプルトンで米国販売およびグローバルウェルス向けプライベートマーケット部門責任者を務めるジェフ・メイソム氏は、同社が6月に米国と欧州の投資適格級CLOに投資するETF「YCLO」を立ち上げたことに触れ、この商品はプライベートクレジットの代替となり得る魅力的な利回りとリスク調整後リターンを提供すると述べた。また、この環境を狙って投入したわけではないが、現在の市場環境との相性は良いと説明した。

フィデリティは2月に2本のCLO上場投信をスタートした。「AAA」格付け資産に重点を置く「FAAA」と、より低格付け部分に投資する「FCLO」だ。同じ月にジャナスも「AA」「A」格付けCLO部分に投資するETF「JA」を投入した。

ジャナスのカーシュナー氏によれば、投資家に対するメッセージは市場のタイミングを狙わないことだ。将来を予測するのは極めて難しいが、CLO投資では高い利回りに加え、十分な分散効果と流動性を得られるという。

原題:CLO ETFs Boom on Higher Rates, Private Debt Woes: Credit Weekly(抜粋)

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