日本銀行の浅田統一郎審議委員は1日の就任記者会見で、景気停滞とインフレが同時に進行するスタグフレーションへの金融政策対応について、物価と雇用のどちらを重視するかは状況に応じて異なるとの見解を示した。

浅田氏は、中東情勢の緊迫化の影響についてコストプッシュの物価上昇により、スタグフレーションの傾向があるとし、その際の金融政策対応は「なかなか難しい」と指摘。その上で、物価と雇用のどちらを重視するかで異なった対処になるとし、「どちらを重視するかはケース・バイ・ケースだ」と語った。

記者会見する日銀の浅田統一郎審議委員

日銀法では物価の安定が目的とされているが、浅田氏は安倍晋三元首相の経済政策であるアベノミクス以降は物価と雇用の両方が重視されてきたとの認識を示した。黒田東彦前総裁による大規模な金融緩和はデフレ不況からの脱却に「成果があったとポジティブに評価している」とする一方、現在の政策への具体的な評価は控えた。

中央大学名誉教授だった浅田氏は先月31日に任期満了で退任した野口旭氏の後任で、任期は5年。理論経済学が専門で、金融緩和と積極財政を重視するリフレ派とされている。会見では、リフレ派と言われていることについて違和感はないとも語った。

円安

過去には積極財政と金融緩和のポリシーミックスによる経済成長の重要性を主張してきた。会見では、利上げを進めている日銀の金融政策運営に対する見解が注目されたが、具体的なコメントは控え、データや情報に基づいて次回会合で政策判断したいと語った。

外国為替市場で一時1ドル=160円を割り込む水準まで円安が進行していることに関しては、「為替レートは政策の結果として市場で決まる。円安が望ましいとか、円高が望ましいとかは言えない」と指摘。日銀は2%のインフレ目標を目指し、「雇用にも配慮しているが、為替レートターゲットはやっていない」と語った。

日銀は3月金融政策決定会合で政策金利を0.75%に据え置いた。植田和男総裁は会見で、中東情勢の緊迫化などで景気が下押されても、基調物価に影響がなければ利上げは可能との見解を示した。同会合の「主な意見」によると、政策委員から原油高に伴う物価上振れリスクへの警戒が示され、利上げの必要性を指摘する声が相次いだ。

足元の金利スワップ(OIS)市場が織り込む日銀の利上げ確率は、4月会合までが約72%、6月会合までが約92%。7月会合までは100%超となっている。

(発言の詳細を追加して更新しました)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.