中東紛争による市場への影響は新たな局面に入り、投資家の関心は当初のインフレショックから世界経済の成長への打撃へと移りつつある。シタデル・セキュリティーズがこう指摘した。

同社ストラテジストのフランク・フライト氏は23日、経済活動の弱まりと「需要破壊」への移行は、長期のインフレ連動債を支える可能性があると顧客向けリポートで述べた。同時に、米ドルのコールオプションはイラン情勢のさらなるエスカレーションに対する「魅力的な非対称的」防御手段になるとした。

トランプ米大統領は23日、イランのエネルギーインフラへの攻撃を延期すると表明。この発表を受け、株・債券相場は上昇し、原油とドルは下落した。

それでもフライト氏は、国際エネルギー機関(IEA)が史上最悪の石油市場の混乱と表現した事態を受けて世界のサプライチェーン(供給網)に生じた「持続的な損害」について、たとえ緊張が緩和しても一部は解消されない可能性があると警告した。

フライト氏は「市場は少なくとも一定程度の需要破壊と、紛争がもたらす無数の連鎖反応という現実に直面せざるを得ない」と指摘。「次の局面はエスカレーションの動向よりも、成長ショックの規模によって定義される可能性が高い」と分析した。

3月の利回り上昇

2月末に戦争が始まって以降、主要市場では債券利回りが急上昇している。投資家はエネルギーコスト上昇に伴うインフレ加速に対応するため、中央銀行が利上げを余儀なくされるか、緩和方針を撤回する可能性を織り込んでいる。一方、ドルは安全資産需要の高まりなどを背景に上昇している。

フライト氏は短期金利が安定すれば、実質金利(インフレ調整後金利)はフォワード市場でフラット化し、投資家の関心は紛争による成長への打撃へと移ると予想した。

同氏は、この紛争がエスカレーションか停戦かの分岐点に近づいているとした上で、いずれの結果でも成長にはマイナスの影響が及ぶと予測した。

供給ショックが長期化すれば、すでに脆弱(ぜいじゃく)な世界経済に打撃となる。家計は余剰貯蓄を大きく取り崩しており、労働市場もロシアによるウクライナ侵攻を受けた2022年のエネルギーショック時より軟化している。一方で経済成長が想定以上に底堅ければ、中銀はインフレ抑制のため政策を引き締める可能性が高く、結果として経済活動の重しとなる。

新興国はエネルギー輸入国が多いだけに、特に影響を受けやすいと同氏は指摘した。

通貨安が中銀による利上げを迫り、国内経済の減速を増幅させる可能性もある。新興国資産の弱さは世界経済に波及し、ドル高を強めることで引き締めサイクルを強化する可能性があるとした。

原題:Citadel Securities Sees Markets Shifting to ‘Demand Destruction’(抜粋)

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