(ブルームバーグ):プライベートエクイティー(PE、未公開株)業界は、好況期に積み上がった資産を売却するため、価格面での譲歩を迫られていると、業界幹部らが指摘した。一部のバイアウトファンドは市場から姿を消す可能性もあるとしている。
ベルリンで開催のPE関連会合「スーパーリターン」に参加した業界幹部らが、こうした見方を示した。
かつて有望視されたソフトウエア分野で人工知能(AI)の影響に対する懸念が強まっているほか、個人投資家の慎重姿勢、イラン戦争なども業界への重しとなっている。バイアウト企業が投資の回収(エグジット)を今年加速させるとの期待は後退している。
ストラテジック・バリュー・パートナーズ(SVP)創業者のビクター・コスラ氏は、買い手候補と売り手候補との間に価格差があると指摘。
「プライベートエクイティーや不動産など、身動きが取れなくなっているセクターがある。売りたくても売れない状況だ」と10日に述べた。イベントの合間にブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じた。

米アポロ・グローバル・マネジメントのスコット・クラインマン共同社長は、超低金利が続いていた10年間にPE業界は「少し道を見失った」とブルームバーグテレビジョンで語った。
同氏は業界全般について、適正な価格で買収して事業価値を向上させるという本来の目的から外れてしまったと指摘。特に2017-22年に組成されたファンドが苦戦していると述べた。
「PEファンドが保有する企業数は極めて高水準にある」とし、各社は「バリュエーションに関して確実に譲歩せざるを得なくなる」との見通しを示した。一部の運用会社はファンド規模の縮小を余儀なくされるか「撤退」することになろうとも述べた。
ブルックフィールド・アセット・マネジメントのPE部門最高経営責任者(CEO)、アヌジ・ランジャン氏は、バイアウト企業は新規株式公開(IPO)市場に依存するのでなく、現金を創出して配当を支払うことのできる企業の保有・経営に注力すべきだとの考えを示した。
ソフトウエア業界への見方
AIがソフトウエア業界にもたらす影響を巡って、業界幹部らの意見は分かれた。
SVPのコスラ氏は、ソフトウエア分野への投資エクスポージャーは同社として全くないと説明。「ソフトウエア企業は一度問題を抱えると、少し業績が悪化する程度では済まない。崖から転落するように急激に悪化する」と述べた。
フォートレス・インベストメント・グループのジャック・ニューマーク共同CEOは、プライベートクレジット市場が「やや過熱気味」になった後だけに、今後はデフォルト(債務不履行)が生じた際の回収率が低下し、損失も拡大する可能性が高いと指摘した。特に2020年と21年に実施されたソフトウエア関連融資で、その傾向が強まると予想した。

一方、ゴールドマン・サックス・グループの資産運用部門でプライベート・クレジット事業グローバル共同責任者を務めるジェームズ・レイノルズ氏は「全てのソフトウエア企業が同じではない」と、ブルームバーグテレビジョンで述べた。
同資産運用部門は、重要業務を支える大規模ソフト関連企業への投資に注力しており、ソフトウエア分野は最も好調な投資先の一となっている。
また、世界的なAIインフラ整備に向けた前例のない規模の資金流入が、将来的な課題を生む可能性もある。
シックス・ストリート・パートナーズの共同最高投資責任者(CIO)、ジュリアン・ソールズベリー氏は、複数の投資家や貸し手が同じ借り手候補を巡って競っているため、エクスポージャーが一部の企業に集中するリスクが高まっていると述べた。
同氏は「これほど急速に成長する市場では、必ず敗者が生まれる」とした上で、今後2-4年の間に「何らかの淘汰が起きる」と語った。
原題:Private Equity Urged to ‘Capitulate’ to Clear Buyout Backlog (1)(抜粋)
--取材協力:Meg Short、Silas Brown、Bella Farr.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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