外国為替市場の円相場は対ドルで160円台間近となっている。さらに円安が進めば、ホルムズ海峡の混乱による供給不安で上昇している原油相場に重なり、ガソリン価格などがさらに押し上げられる可能性もある。日本経済や家計にとって二重の打撃となるリスクが意識されている。

国内の石油各社は自社で精製した石油製品の卸価格を原油市況や為替水準に連動する形で決めており、現在のように原油高騰と円安傾向が同時に発生するタイミングでは小売り価格を大きく押し上げる要因となる。国際原油指標のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は3月6日以降、おおむね1バレル=90ドル台で推移する。

その結果、資源エネルギー庁が発表した16日時点の全国の小売価格は前週比29円高の1リットル当たり190.8円と史上最高値をつけた。すでに都内のガソリンスタンドは、1リットル=200円超を掲げる店舗も現れ始めた。

都内のガソリンスタンドの掲示板(3月16日)

日本政府も対応

ガソリン価格はいくらまで上がる可能性があるのか。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは9日時点で、WTIが1バレル=87ドル程度で推移すれば、1カ月程度後の国内ガソリン価格は1リットル204円と試算していた。08年の最高値である140ドルまで上がれば、ガソリン価格は328円まで上がるという。

もっとも、政府は急激な価格上昇を抑える措置を打ち出している。高市早苗首相は11日の記者会見で、ガソリン価格を全国平均で1リットル当たり170円程度に抑える激変緩和措置を実施する方針を示した。経済産業省によれば、170円を超える部分について全額補助し、19日出荷分から支給する。

赤沢亮正経済産業相によれば、おおむね1-2週間をかけて補助前の在庫がはけ、全国の小売価格が170円程度に下がると見込んでいるという。

ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミストは、こうした補助金によってガソリンについては「目先は甚大な影響は避けられる」と指摘。ただ、円安と中東情勢の緊張が長期化すれば、電気料金やガス料金などエネルギーコストの上昇として家計への負担が徐々に顕在化するとみている。

一方で、原油高が更なる円安を招く懸念もある。上野氏は、原油の価格上昇で貿易赤字が拡大すれば、円安圧力が強まる可能性があると指摘する。価格高騰で海外への支払いに必要なドルの需要が高まり、円の価値が相対的に下がるためだ。財務省の貿易統計によれば、原油や石油製品を含めた燃料は、輸入全体(金額ベース)の約2割を占める。

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