(貿易)外需寄与は縮小、関税政策の不確実性が今後貿易動向のカギに
実質GDPにおける25年10-12月期の外需の成長率寄与度は+0.1%ポイント(前期:+1.6%ポイント)と、前期から大幅にプラス幅が縮小した。
輸出入の内訳をみると、輸出が前期比年率▲0.9%(前期:+9.6%)と前期からマイナスに転じた。また、輸入は▲1.3%(前期:▲4.4%)と減少幅が縮小しており、輸出の減少と輸入の減少幅縮小のいずれもが貿易赤字を拡大させる方向に働いた。
月次の貿易統計をみると、財・サービスを合計した貿易収支は25年初に赤字幅が大きく拡大した後、春から夏にかけて赤字幅が縮小した。
これは、トランプ政権による関税措置の拡大を見込んだ輸入の駆け込み需要が年初に発生した後、その反動で輸入が減少したことが背景とみられる。もっとも、25年10月以降は赤字幅が概ね横ばい圏で推移している。
トランプ政権は25年以降、広範な輸入品に対する関税措置を相次いで導入した。公表された関税率を24年の輸入構成で加重平均した理論値をみると、平均関税率は25年春先には20%を超える水準まで急上昇した。
その後はやや低下したものの、足元でも15%超の高水準で推移している。

これに対し、実際の関税収入を輸入額で除して算出した実効関税率は理論値を大きく下回っている。実効関税率は25年夏以降に上昇し、足元では10%前後で推移している。
理論値と比較すると乖離が大きく、輸入品目の代替や関税対象外品目へのシフトなどにより、関税負担が一定程度回避されている可能性が示唆される。
このように関税率は大きく引き上げられたものの、これまでのところ関税政策が当初懸念されたほど米国経済に大きな下押し圧力を与えている状況にはないとみられる。
もっとも、関税政策の先行きには不透明感が残る。
トランプ政権が発動したIEEPA関税については連邦裁判所が違憲と判断しており、政権は通商法301条に基づく関税措置の導入を検討しているが、それまでの暫定措置として通商法122条を根拠とした関税を発動している。
執筆時点では税率は10%となっているが、最終的には15%まで引き上げられる可能性がある。
一方、26年の中間選挙を控える中でインフレ抑制は政権にとって重要な政策課題となっており、輸入価格を押し上げる大幅な関税引き上げには政治的な制約も大きいとみられる。
このため通商政策を巡る不確実性は当面残るとみられるが、関税による輸入抑制の影響が続くことを踏まえると、26年の外需寄与度は小幅ながらプラスを維持する可能性が高い。