(ブルームバーグ):幾つかの主要中央銀行にとって、イラン戦争がインフレと経済成長のどちらにより差し迫った危険をもたらすのかという問題は、今週も結論が出ないままとなりそうだ。
主要中銀7行が、おおむね再び政策金利を据え置くと予想されている。だが、低金利脱却を進める日本銀行の利上げと、難しい判断となる見通しのノルウェーが例外となる公算が大きい。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)やイングランド銀行(英中銀)、スウェーデン中銀など各国で広く現状維持が見込まれている。
トランプ米大統領によるイランとの和平合意実現に向けた取り組みの中で、戦争開始から100日を超えた紛争の影響を見極めるため、各中銀はさらに時間をかけたいとの意向が一段と強まる可能性がある。
この動きは、トランプ氏がフランスで15-17日に開かれる主要7カ国(G7)首脳会議に出席する見通しの中で進展していく。先進国間で政策の方向性の違いはすでに鮮明になりつつある。欧州中央銀行(ECB)は11日、2023年以来となる利上げを実施した。
ノルウェーとオーストラリアの中銀はすでに利上げを行ったが、再び急いで引き上げる必要性は低いとみられる。一方、安全資産としてのスイス・フランへの資金流入の影響を受けるスイス国立銀行(中銀)は、政策金利を0%に据え置く見通しだ。
世界の国内総生産(GDP)の4割余りを占める20を超える国・地域の中銀が政策金利を決定する予定。このほか、中国の小売業から工業部門までを対象とする経済指標や日本のインフレ率、人口上限導入の是非を問うスイスの国民投票、ブリュッセルで開催される欧州連合(EU)首脳会議などが注目材料となる。
米国
米連邦公開市場委員会(FOMC)は16、17両日、会合を開く。新たに議長に就任したウォーシュFRB議長が初めて主宰する会合だ。ウォーシュ氏は06-11年にFRB理事を務めていた。金利据え置きが広く予想されているが、先行きはそれほど明確ではない。
予想を上回った雇用統計に続き、米インフレ率は5月に約3年ぶりの高い伸びを記録した。こうした物価圧力が続けば、政策当局は利上げを検討せざるを得なくなりそうだ。
当局者は個人消費を含む幅広い経済指標を検証する見込み。米国の消費者は底堅さを維持してきたが、インフレ率が賃金上昇率を上回る中、家計への圧力は強まっている。
17日に発表される5月の小売売上高が前月比0.5%増となる見通し。この統計はインフレ調整前だが、ガソリンや食品価格の上昇にもかかわらず消費者が持ちこたえていることを示唆する内容となりそうだ。
その他、15日に鉱工業生産、16日に住宅着工件数が公表される。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナ・ウォン、アンドリュー・サッチャー両氏らは「FOMCはほぼ確実に金利を据え置くだろう。しかし最大の注目点は、新議長による初の記者会見かもしれない。最近まで低金利支持を唱えていたウォーシュ氏なのか、それとも世界金融危機のさなかおよびその後に見られたインフレ警戒派のウォーシュ氏なのか」と指摘した。
アジア太平洋
金融政策決定と主要経済指標が相次ぐ慌ただしい1週間を迎える。インフレリスクが依然として一様ではない中で、成長減速の兆候がより明確になっているかどうかに注目が集まる。
中国では16日に5月の一連の経済活動指標が発表され、世界2位の経済大国の最新状況が示される。

小売売上高は前年同月比でほぼ横ばいとなる見通しで、工業生産は緩やかに加速すると予想されている。長期化する不動産不況が安定化しつつあるかどうかを見極める上で、固定資産投資や不動産投資、住宅販売データにも注目が集まる。
オーストラリア準備銀行(中銀)は16日、政策金利目標を4.35%に維持すると広く予想されている。今年3回利上げした後で初めての据え置きとなりそうだ。
日銀は15、16両日の金融政策決定会合で、政策金利を1%へ引き上げる見通し。段階的な金融正常化サイクルが進む。
今回の決定は、日本が過去10年間を特徴づけた超緩和政策からさらに距離を置く中で、金融当局が賃金上昇とインフレの持続性をどう見ているかを示す手がかりとして注目される。

英国
英国では、重要な政治・経済イベントが重なる。18日に下院の補欠選挙が実施され、与党労働党内で次期首相候補の一人と見なされているバーナム・マンチェスター市長が出馬する。当選すれば、スターマー首相の挑戦者として浮上する可能性がある。
同日にはイングランド銀の政策決定もあり、多数の政策委員が利上げに反対するとみられている。17日に発表される統計ではインフレ加速が示される見通しで、金融政策決定当日の朝に労働市場統計が公表される。
原題:Fed and BOE Stay Guarded After 100 Days of Iran War: Eco Week(抜粋)
--取材協力:Anthony Halpin、Charlie Duxbury、Jonnelle Marte、Swati Pandey、Laura Dhillon Kane、Reade Pickert、Monique Vanek、Piotr Skolimowski、Mark Evans、Ott Ummelas、Beril Akman.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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