(ブルームバーグ):イランの聖職者で構成する「専門家会議」は8日、殺害されたハメネイ師の後継者となる新たな最高指導者を選出した。誰が選出されたかは明らかでない。米軍とイスラエル軍の攻撃開始から9日目となるこの日、イランはバーレーンの海水淡水化プラントなどを標的に攻撃をエスカレートさせた。
イスラエル軍はイラン電力網への打撃を狙い、テヘランの主要燃料貯蔵施設を空爆した。8日にかけての夜間攻撃は、ペルシャ湾岸諸国がイランから発射されるミサイルやドローンへの対応を引き続き迫られる中で実行された。
アラブ首長国連邦(UAE)とクウェート、サウジアラビア、バーレーンは、夜間のイランによる攻撃を迎撃したと発表した。UAEとクウェートは原油生産の削減を開始した。世界のエネルギー輸出の約5分の1が通過する要衝ホルムズ海峡は、ほぼ封鎖状態となっている。
バーレーンでは、イランのドローン攻撃により海水淡水化施設が物的被害を受けたと同国政府が明らかにした。ただ、水の供給への影響はないとしている。
イランによるバーレーンへの攻撃は、海水淡水化プラントの一つを攻撃したとイランが米国を非難した後に起きた。ペルシャ湾岸諸国は飲料水の大部分を民間インフラに依存している。中東での衝突拡大が金融ハブの安定を既に揺るがしているが、状況がさらに悪化しかねない。
トランプ米大統領は7日、これまで攻撃対象としてこなかったイラン国内の地域や集団についても、攻撃を検討すると表明した。
トランプ大統領は米国時間7日の早い段階で、「きょうイランは非常に激しく攻撃されるだろう!」とSNSに投稿。米軍とイスラエル軍による攻撃は「彼らが降伏するか、より可能性が高いのは、完全に崩壊するまで」続くと見通しを示した。
トランプ氏はその後、大統領専用機「エアフォースワン」で記者団に対し、イランの濃縮ウランを確保するために地上部隊を派遣する可能性について、「それは素晴らしいことだろう。ある時点で、われわれは多分そうする」と発言。クルド人勢力の介入を巡っては、米軍とイスラエル軍がイランへの攻撃を継続する間、戦闘に参加しないよう伝えたと明らかにした。

イランのペゼシュキアン大統領は7日、「われわれが無条件で降伏するという考えは、墓場まで持っていく夢にすぎない」と演説で述べ、降伏を拒否した。トランプ大統領は6日のトゥルース・ソーシャルへの投稿で、「イランとのディールは、無条件降伏以外にあり得ない!」と同国に降伏を迫り、交渉による戦争終結の合意を望まない考えを示していた。
米国とイスラエルの攻撃でイランの最高指導者ハメネイ師が殺害された後、ペゼシュキアン氏は3人で構成される暫定指導評議会のメンバーを務めている。同氏は、イランを攻撃していない国を攻撃しないよう軍に指示したと明らかにした。ペゼシュキアン氏は、これまでにイランから攻撃を受けた近隣諸国に謝罪し、そうした国々は「われわれの兄弟」だと語った。それでも、準国営タスニム通信によると、イランはカタールとバーレーンに向けてドローン(無人機)やミサイルを発射した。
一方、UAEは沖合油田の生産水準を「管理している」と明らかにした。またクウェートは原油生産の削減を開始した。ホルムズ海峡が事実上閉鎖となり、エネルギー市場や世界の供給に影響が広がっている。
7日にはイラン革命防衛隊の報道官が国営テレビで、イランは「少なくとも6カ月間、現在のペースで激しく全面的な戦争を継続する準備が整っている」と述べた。
サウジアラビアは主要油田に向かっていたドローンを迎撃した。原油・ガス価格が急騰する中、エネルギー関連施設が相次ぎ標的となっている。
トランプ氏は、「イランの悪しき行動を理由に、完全な破壊と確実な死をもたらすことを真剣に検討している」とし、「これまで標的として想定していなかった地域や集団」に言及した。またペゼシュキアン氏の謝罪について、「米国とイスラエルによる容赦ない攻撃」によって謝罪せざるを得なくなったと主張した。
イランメディアは、トランプ氏の投稿を民間人への脅威と受け止めた。これまでのところ、米国とイスラエルの攻撃は都市やインフラへの全面爆撃ではなく、軍事施設や政府関連施設に重点を置いているとみられる。
米国とイスラエルがイラン攻撃を開始してから1週間が経過した。戦闘に終息の兆しはなく、世界の供給網に混乱をもたらし、新たなインフレ危機への懸念を強めている。約12カ国が紛争に巻き込まれている。

ドイツのメルツ首相は、イランの崩壊や欧州での新たな移民危機、長期的な経済的損害を招きかねない「終わりなき戦争」を米国とイスラエルが行うべきではないと警告した。
イランの「専門家会議」は今後24時間以内に新たな最高指導者を選出する会合を開く予定だと、準国営ファルス通信が報じた。
イラン戦争を受けてエネルギー価格高騰を巡る懸念が広がる中、米国のガソリン価格は2024年9月以来の高水準に上昇した。米原油先物は1バレル=90ドルを超えて週を終え、先週金曜比で20ドル余り上昇。1980年代以降で最大の週間上昇率を記録した。ブレント原油も92ドル超で取引を終えた。
これまでにイランでは少なくとも1332人が死亡し、同地域の他の国でも報復攻撃で数十人が犠牲となった。米兵6人も死亡しており、いずれも戦闘開始から最初の2日間で命を落とした。
原題:Iran Picks New Leader as Escalating War Deepens Oil Shock (2)、Trump Says US May Target New Parts of Iran in Escalating War (3)(抜粋)
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