米銀JPモルガン・チェースの資産運用部門(運用資産4兆3000億ドル=約685兆円)は、プライベートクレジットへの関与強化を巡る長年の検討を経て、同行の商業銀行部門が組成した融資に巨額資金を投じる戦略に踏み出す。

JPモルガンは始動に向けて数十億ドル規模の資金を調達するため機関投資家と協議しており、既に一部のコミットメントを確保している。資産運用部門であるJPモルガン・アセット・マネジメントの幹部、ジョージ・ガッチ、ボブ・マイケル両氏が明らかにした。

計画通りに進めば、この資産クラスで競合との差を縮める体制が整う。競合の多くは、一連の信用問題を受けて投資家の資金流出に見舞われている。また、将来的には富裕層顧客への提供拡大につながる可能性もあるが、現時点でその計画はないという。

今回の取り組みは、同資産運用部門にとって、1兆8000億ドル規模のプライベートクレジット市場での巻き返しに向けた最も積極的な動きとなる。JPモルガンでは2016年に分社化した部門が、後にプライベートクレジット業界の有力企業HPSインベストメント・パートナーズへと成長した経緯がある。経営陣はこの判断を悔やむこととなった。

JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO

プライベートクレジット市場はここ数年で最も厳しい試練に直面している。解約の急増や、人工知能(AI)がソフトウエア業界に与える影響への不安が背景にある。JPモルガンの参入を巡っては、一部競合から反発の声も出ている。同行のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が同市場の潜在的リスクや融資基準の緩みについて繰り返し警鐘を鳴らしてきたためだ。

「プライベートクレジット事業の拡大や市場の一部ひずみを踏まえると、興味深い局面にある」とJPモルガン・アセットのガッチCEOは指摘。「先行き、大きな機会があると考えている」と述べた。

JPモルガンは過去に、同市場での存在感を高めるため、買収を通じて参入を深めようとしたこともある。2024年にはモンロー・キャピタルと買収交渉を行ったが、最終的に取引は見送られた。その後、JPモルガンの経営陣はプライベートクレジット事業拡大に向けた資金調達戦略の基盤づくりに着手した。

「自前で事業拡大」

「これまでさまざまな選択肢を検討してきたが、この分野で自前で事業を拡大する方針を決めた」とガッチ氏は説明した。

ガッチ、マイケル両氏は約1年前、同行の商業・投資銀行部門でダイレクトレンディングの共同責任者を務めていたジェフ・ブラキータ氏をこの取り組みの責任者に据えた。

ブラキータ氏はその後、競合の運用会社などから専門人材を10人余り採用した。このチームはオルタナティブ部門ではなく債券部門に配置されている点が特徴で、公開市場とプライベートクレジット市場がいずれ収れんしていくとの同行の見方を反映している。今後は個別運用口座や合同運用ビークルの立ち上げを進める見通しだ。

「顧客は以前から、ダイレクトレンディング分野でJPモルガンが一貫して提供するサービスを求めていた」と、JPモルガン・アセットの最高投資責任者(CIO)兼グローバル債券責任者であるマイケル氏は語った。商業銀行部門が「融資案件の開拓や組成を担い、資産運用部門がそれを精査して投資する」と続けた。

その上で、今回の取り組みについて「信用サイクルとは本質的に独立したものだ」と付け加えた。

原題:JPMorgan Readies Fresh Private Credit Push After Needling Market(抜粋)

--取材協力:Rene Ismail.

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