米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、スイス・ダボスからの帰路、トランプ米大統領が、自身とJPモルガンを相手取り、50億ドル(約7900億円)の損害賠償を求めて訴訟を起こしたことを知った。

JPモルガンの株主はこのニュースに動じなかった。株価は一時小幅に下落したものの、終値では上昇し、時価総額は40億ドル超増えた。取締役会はダイモン氏の報酬を10%引き上げたことを明らかにした。

トランプ氏はこれまでも、自分に個人的な被害を与えたと主張する企業を標的にしてきた。ダイモン氏との関わりは長く複雑で、時に対立的でもあった。

今回トランプは、2021年に自身がホワイトハウスを去った後、ダイモン氏が自らの判断でトランプ氏を米国の金融業界から締め出したと非難している。

訴状は、JPモルガンとそのCEOが、政治的理由からトランプ氏の事業との取引を違法に縮小し、さらに業界の「ブラックリスト」にトランプの名を載せ、他の金融機関へのアクセスを妨げたと主張している。

トランプ氏は22日大統領専用機の機内で記者団に「彼らがやったことは許されない。ダイモン氏のやったことは許されない」と語った。「もしかしたら、規制当局が理由だと言い訳するかもしれない」とも述べた。

実際JPモルガンは、「銀行に法的または規制上のリスクをもたらす口座を閉鎖するよう求める」連邦規則に従っていると説明した。同社は、トランプ氏の支持者が米連邦議会議事堂を襲撃した数週間後に他の銀行とともに、同氏との取引を縮小した経緯がある。

同規則をより厳密に定義し、政治的理由での乱用を防ぐトランプ政権の最近の取り組みを支持するとも表明した。

問題となっている規則は、評判リスクをもたらす顧客を精査し、場合によっては排除するよう銀行に求めることで、銀行の安全性を確保することを目的としている。通貨監督庁(OCC)や連邦預金保険公社(FDIC)などトランプ政権の監督当局は、トランプ氏や共和党議員からの要請を受け、同規則の抑制に動いた。

トランプ氏とウォール街の関係は最近ぎくしゃくしている。同氏の規制緩和と減税政策によって2025年は米銀史上有数の高収益の年となったが、トランプ氏は今月に入り、クレジットカード金利引き下げを求めるなど金融機関への攻勢を強めている。

ダイモン氏については、トランプ氏が、ウォール街とホワイトハウスの仲介役をしばしば果たしてきた業界の長老的存在を標的としているとも受け取れる。

過去10年のさまざまな局面で、ダイモン氏とトランプ氏は政策で協力し、互いの見識を称賛し、失策をたしなめ、時には舌戦を交わしてきた。

ダイモン氏はダボスでのステージ上のインタビューで、「私はより強い北大西洋条約機構(NATO)、より強い欧州を望んでいる。トランプ氏がやってきたことの中には、それをもたらすものもある。そうでないものもある」と語った。

原題:In Trump v. Dimon, Years of Strain Culminate in $5 Billion Suit(抜粋)

--取材協力:Tom Schoenberg、Katanga Johnson.

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