なぜ核融合が次世代エネルギーとして注目されるのか?
1|日本のエネルギー構造を巡る課題と核融合の位置づけ
日本の一次エネルギー自給率は12.6%と、主要先進国の中でも低い水準にある。また、エネルギー供給の内訳を見ると、石油・天然ガス・石炭といった化石燃料への依存度は80.8%と依然として高く、その多くを海外からの輸入に頼っている。
このため、日本のエネルギー供給は、国際情勢の変化や資源価格の変動の影響を受けやすく、安定性の面で構造的な脆弱性を抱えてきた。
核融合エネルギーは、こうした状況を転換し得る技術として、重要な政策的価値を持つ。核融合で使用される燃料である重水素や、炉内で生産可能なトリチウムは、化石燃料と異なり、将来的に国内で確保・供給が可能とされている。
そのため核融合は、燃料確保の観点から日本のエネルギー構造を支える選択肢のひとつとして注目されている。
2|再生可能エネルギーを補完し、電力システムを支える核融合発電とその課題
再生可能エネルギー(以下、再エネ)は、脱炭素化を進めるうえで中心的役割を担っている。しかし、太陽光や風力の発電出力は気象条件により左右され、時間帯、季節によっても大きく出力が変動する。
このため、再エネの導入を拡大するには、蓄電設備やバックアップ電源と組み合わせて運用することが前提となる。
一方で、核融合発電は太陽光や風力のように自然エネルギーを直接利用する再エネとは異なり、原子核反応によって生じる熱エネルギーを利用する発電方法であり、運転中に二酸化炭素を排出しないという特性がある。
また長時間の運転も想定されているため、将来のベースロード電源になる可能性も秘めている。将来的に再エネを中心とする電力システムとの関係性が議論されており、電力供給の安定性にどのように寄与し得るかが検討されている。
もっとも、核融合発電は、現時点では研究開発段階にある技術であり、実用化や電力システムへの本格導入を見据えると多くの課題が残る。
技術面では、発電炉を成立させること自体が研究開発段階であり、自己点火の安定的な達成、中性子照射に耐える材料開発に加え、長時間連続運転や高稼働率の実現に向けたプラズマ制御技術の高度化などが求められている。
また実用化の観点でも課題は大きい。建設コスト、運転・保守コストを抑えつつ、実際に発電炉として建設・運用可能なシステムを確立する必要があり、開発から導入までの期間が長く、不確実性が大きい点も検討課題である。
さらに制度・政策面でも整理が必要である。核融合を政策上どのように位置づけるのか、安全規制・法制度の枠組み、エネルギーミックスを考えた場合、運転停止時の系統への影響の整合性などを検討する必要がある。
このように、核融合発電は技術、実用化、制度・政策の各面で課題を抱えており、将来の電力システムへの位置づけについて、これらを踏まえた慎重な検討が必要である。
