核融合とは何か?核融合反応の基本原理と特徴

1|核融合反応の原理とエネルギーを生み出す仕組み

核融合とは、原子核の融合反応を人工的に制御し、エネルギー源として利用しようとする技術や研究分野のことであり、現在では、日本を含む世界各国で研究開発が進められている。

ここで制御の対象となる核融合反応は、軽い原子核どうしが非常に高温かつ高密度の条件下で衝突・結合し、より重い原子核になる際に、大きなエネルギーを放出する物理現象である。

2|太陽における核融合反応と私たちのエネルギー利用

核融合反応の代表的な例として、太陽の内部で起きている反応が挙げられる。太陽では、水素の原子核が融合してヘリウムに変わる過程で、わずかに質量が失われる。

この失われた質量は、アインシュタインが導き出した方程式「E=mc2」に従ってエネルギーへと変換され、強い光や熱として宇宙空間に放出されている。

私たちが日常的に利用している太陽光エネルギーもその起源をたどれば、太陽内部での核融合反応によって生み出されたエネルギーが地球に届いたものである。

このように、核融合反応が生み出すエネルギー量は非常に大きい。その規模を例えると、1グラムの水素から得られる核融合エネルギーは石油約8トン分に相当するとされる試算もある。

こうした特性を踏まえ、太陽で起きている核融合反応を地球上で再現し、エネルギー源として利用することを目指した研究が進められている。

3|地上で核融合を実現するための燃料選択とその特性

地上で核融合反応によってエネルギーを生み出すためには、太陽とは異なるさまざまな工夫が必要になる。そのひとつが、反応に用いる燃料の選択である。

太陽では水素を燃料としているが、地上の核融合炉で効率的に核融合反応を起こすためには、別の燃料が適している。

現在、核融合で主に使用されている燃料は、重水素と三重水素(以下、トリチウム)である。重水素は水素の一種で、海水中に広く含まれており、資源として比較的入手しやすい。

一方、トリチウムは自然界にはほとんど存在しないが、核融合炉内でリチウムを利用して生成することが想定されている。

このため、核融合炉ではリチウムからのトリチウムの増殖、炉内からの回収、燃料としての供給や貯蔵を含む燃料サイクルを構成する必要がある。

これらは、核融合炉の運転を前提とした燃料供給の枠組みをなすものであり、炉の成立には不可欠な要素となる。

重水素とトリチウムを組み合わせた核融合反応は、他の核融合反応に比べて低い温度条件でも反応が起こりやすく、さらに燃料のエネルギー密度が大きいため、少量の燃料から大きなエネルギーを取り出すことができる。

一方、リチウムからトリチウムを製造する技術は理論・実験レベルでは原理が確立されているが、実用規模での炉内一貫製造技術としてはまだ確立・実証されておらず、コスト面での課題も残っている。

またトリチウムは放射性物質であり、その製造・貯蔵・運転・廃止措置の各段階で、漏えいリスクや環境影響を最小化するための厳格な管理が求められる。

エネルギーを効率的に生成できる燃料としての利点はあるが、こうした効率的な製造技術の確立やコスト、また安全管理や社会的受容に関する課題も、今後の研究開発と制度設計の重要な検討事項となる。