(ブルームバーグ):世界の株式投資家にとって2026年は、順調な滑り出しとなっている。日本、欧州、米国で株価が上昇し、4年連続の堅調なリターン達成に期待が持てる。
だが株式強気派は、同年最初の重要な試練に直面している。地政学的な緊張が高まり、経済成長の先行きが不透明な中で発表される四半期決算だ。
ハードルは高い。世界の株式市場のバリュエーションは長期平均を上回る水準で高止まりしている。MSCIワールド指数は予想利益ベースの株価収益率(PER)20倍で取引され、過去10年の中央値である17倍を上回る。昨年19%上昇した株式相場がさらに上昇するには、利益拡大と成長の継続が必要だ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がまとめたデータによると、米国のS&P500種株価指数構成企業の直近の四半期の利益は8%超の増加が見込まれる。今年の各四半期も少なくとも11%の伸びが予想されている。アジア企業は25年第4四半期の利益が14%増と見込まれる。一方、欧州企業の利益は1%強の増加にとどまる見通しだ。
プレミア・ミトン・インベスターズの最高投資責任者(CIO)、ニール・ビレル氏は「市場のバリュエーションは、利益成長についての少しの失望も許されない水準にある」と指摘。「26年の利益予想が下方修正され始めれば、相場上昇は大きなリスクにさらされるだろう」と述べた。

初期の決算結果はまちまちだ。ウォール街の大手銀行は、経済の健全性について可もなく不可もない評価を示した。欧州では、カルティエを傘下に持つ高級ブランドのリシュモンなどが期待外れだった。ここ3年余りと同様に、救いは人工知能(AI)の分野だ。台湾積体電路製造(TSMC)はAI向け半導体について強い見通しを示し、15日に世界的な株高を誘発した。
AIは、今回の決算シーズンでも引き続き中心的なテーマとなる見通しだ。世界で最も規模が大きく、最も利益を上げている企業がこの分野に集中しているからだ。全体として大きな失望は予想されていないが、AI一極集中の投資テーマは25年の終盤にすでにひびが入り始めた。その結果、消費財メーカーやエネルギー、素材、医療サービスなど経済の他の分野に、期待がかかっている。
株価を動かす最も重要な新情報は、例年通り企業の見通しだ。ホワイトハウス発の政策混乱に左右される環境で、投資家は経営陣が経済をどう見ているのかの手がかりを求めている。
裾野拡大
投資家が注目する主なテーマの一つは、成長の裾野拡大だ。経済成長がAI以外にも広がるとの見方から、銀行や消費財、鉱業といった旧来型産業に資金がようやく流れ始めている。これらの企業は、いずれ指数のリターンを自らの力で押し上げる役割を担うと期待されており、決算への注目度が一段と高まっている。
今後1週間にはプロクター・アンド・ギャンブルとジョンソン・エンド・ジョンソンが決算を発表する。投資家はトイレットペーパーや一般用医薬品といった日常的な製品を手がけるメーカーの業績を確認することができる。
AIへの精査
投資家は最近、AI投資に対して選別色を強めており、リターンの裏付けが乏しいまま巨額投資を続ける銘柄への食指は動いていない。メタ・プラットフォームズの株価は、前四半期に示した支出計画が投資家を動揺させて以降、7%下落した。かつてAIの人気銘柄だったオラクルは、債券市場での資金調達が必要となったことで売り込まれた。
米テック大手には重い課題がのしかかる。BIがまとめたデータによると、「マグニフィセント・セブン」の25年10-12月期利益は20%増とみられ、S&P500種の残り493社の予想の4倍に当たる。バンク・オブ・アメリカの推計では、メタ、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、オラクルの5社は26年に合計5300億ドル(約84兆円)を投資する見通しだ。こうした支出を正当化できるだけの利益を生み出せるのかが問われている。
エバコアISIのチーフ株式・クオンツストラテジスト、ジュリアン・エマニュエル氏にとって、その答えは設備投資がフリーキャッシュフローに占める比率にある。
「多くのハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)で見られるように、フリーキャッシュフローが引き続き設備投資を支えていることを確認したい」と同氏は述べた。
原題:Pricey Equity Markets Charge Into a High-Stakes Earnings Season(抜粋)
(最終2段落を追加します)
--取材協力:Rose Henderson、Matthew Griffin、Michael Msika.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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