(ブルームバーグ):トヨタ自動車グループが豊田自動織機の非公開化に向け株式公開買い付け(TOB)価格を引き上げ、15日から開始する。豊田織機の大株主である米大手アクティビスト(物言う株主)のエリオット・インベストメント・マネジメントはTOBに応募しない意向を示した。
同社の株価は同日、一時前日比6.8%高の1万9255円とブルームバーグの記録に残る1974年9月以来の日中高値を付けた。終値は1万9150円だった。
豊田織機の少数株主からの強い圧力を受け、トヨタグループは価格見直しの予定はないとの姿勢を転換し、前日に当初から15%増の1株当たり1万8800円に引き上げていた。豊田織機から取引の成立確度を高めるため、価格を引き上げたいとの申し出があったとしている。

しかし、この土壇場の譲歩は取引の円滑化には遠く、むしろ投資家が豊田織機の価値に見合うさらなるプレミアムを要求する動きに拍車をかける可能性がある。
エリオットは15日に発表した声明で、引き上げ後のTOB価格は「豊田織機の価値を大幅に過小評価している」と述べた。現在の条件でTOBに応募するつもりはなく、他の株主に対しても支持しないよう働きかけていくとした。
トヨタの源流企業と位置付けられる豊田織機はトヨタをはじめ、グループ各社の株式などの資産を多く保有している。エリオットは自社の分析では豊田織機の事業と金融資産の価値は1株当たり2万5000円を上回るとした。同評価額はTOBが発表された6月以降、5000円超上昇しているという。豊田織機株を保有する英ファンド、スローン・ロビンソンも豊田織機の価値は少なくとも2万5000円相当と主張している。
スローン・ロビンソンのヒュー・スローン最高経営責任者(CEO)は「これはアクティビストが取引を推し進めるよう促すだろう」と指摘した。スローン氏は「トヨタは豊田織機を安く買収しようとしている」と述べた。
一方、電子部品メーカーのイビデンは15日、同社が保有する全ての豊田織機株をTOBに応募すると発表した。ブルームバーグのデータによると、同社の持ち分は0.85%に相当する。売却予定総額は519億4400万円だという。
TOBは2月12日まで実施される。成立すれば繊維機械やフォークリフトを手掛ける豊田織機は、トヨタ会長で創業家出身の豊田章男氏が会長を務める非上場の不動産会社、トヨタ不動産の支配下に入る。
TOBの開始時期は当初は12月の予定だったが、各国の独占禁止当局による承認手続きが遅れたため、2月以降に延期されていた。
トヨタグループが6月に計画を発表した時点では取引総額は約4兆7000億円と算定され、TOB価格は発表前の株価を11%下回っていた。今回の引き上げで買収総額は約5兆4000億円に増えた。

同計画については当初から株主の間で「ディスカウントTOB」との批判があり、エリオットが11月に豊田織機の大株主として浮上したことで勢いを増した。その後、エリオットが買収提案引き上げを目指し、日本の運用会社や機関投資家から支持を取り付けようと働きかけていることも報じられた。
独立系調査会社コドリントン・ジャパンのスティーブン・コドリントンCEOは「豊田織機が保有するグループ会社株の1株当たりの価値が6月時点と比べて5300円分増えていることを考えると、引き上げ後の価格は当初案よりもむしろ見劣りする」と述べた。
トヨタの最高財務責任者(CFO)を兼務するトヨタ不動産の近健太取締役は14日の説明会で、新たな価格は豊田織機の本源的な価値を十分に考慮していると話した。豊田織機が保有するトヨタグループ各社の保有株式の価値上昇についても「今回の価格に適切に織り込んでいると認識している」とした。
(エリオットのコメントなどを追加して更新します)
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