消費者へのメリット

実際にリバースモーゲージの利用においては、資産価値の高い不動産を保有しているが、日々の生活資金には余裕がない「ハウスリッチ・キャッシュプア」の高齢者に特にメリットがある。

フィナンシャルドゥのデータによると、リバースモーゲージ契約者の資金使途は生活資金が多く、使途が生活資金のみである契約者の融資実行額は平均で約780万円にのぼる。

高齢者のキャッシュフローを変えるリバースモーゲージで述べたとおり、リバースモーゲージの変動金利は3%前後を適用している商品が多い。

仮に変動金利が年3.35%時に一括で借りた場合、月々の支払は約2万2,193円である。また、必要な時に必要な分を借りるプランであれば、借入金額に応じた利息のみ負担する。

たとえば、自宅のバリアフリー化や老朽化対策のために300万円借りるケースでは、月々約8,535円の支払いとなる。このように、金利の負担のみで大きな資金の借入が可能なことが、リバースモーゲージの特徴である。

特に重要なメリットは「エイジング・イン・プレイス」への寄与である。これは、高齢者が住み慣れた地域で安全かつ自立して快適に暮らすことを意味する。

一般的に、高齢になるにつれ「住み慣れた場所に住み続けたい」という意向は強まる。リバースモーゲージを活用すれば、住居を手放すことなく暮らしを維持できるうえ、得られる資金で生活支援サービスの利用も可能となる。

また、高齢者にとって、転居による環境変化は「リロケーションダメージ」と呼ばれる心身の不調を引き起こすリスクがある。

生活資金の確保を目的に住み替えや子世帯の住宅での同居を選択した場合、こうした悪影響が及ぶ可能性は否めない。こうした点も、リバースモーゲージを活用するメリットである。

さらに、リバースモーゲージは、空き家問題にも寄与すると考えられる。2023年の空き家数は900万戸と過去最多で、なかでも賃貸・売却用や二次的住宅(別荘など)を除く空き家の増加率が高い。

2025年以降、持ち家率の高い団塊世代が後期高齢者となることで、今後も空き家は増加すると見込まれる。

空き家が生じる要因の一つには、相続人がいない場合や、維持・管理の負担から住宅が放置されてしまうことが挙げられる。

リバースモーゲージを活用し、生前に自宅を相続財産として残さずに処分する仕組みを整えておけば、死後に空き家問題が生じずに済む可能性が高まる。