実質賃金は26年1~3月期にプラス圏浮上の公算大も、物価上振れリスクに注意
11月の実質賃金は特別給与の下振れによって大幅に減少したが、25年12月、26年1月はゼロ近傍まで戻し、2~3月にはプラスに転化すると予想している。実質賃金が下げ止まるタイミングが近づいてきた。
前述のとおり、当面の名目賃金は、ボーナス支給月である12月を除けば所定内給与に近い伸び(前年比+2%台前半~半ば)になる可能性が高いと思われる。
一方、賃金の実質化に用いられる消費者物価指数の「持家の帰属家賃を除く総合」は直近11月分で前年比+3.3%と非常に高い伸びとなっているが、食料品価格の伸び鈍化や旧暫定税率廃止に向けてのガソリン補助金拡大が下押し要因となることで、12月には前年比+2%台半ば程度まで鈍化することが予想される。
微妙なところではあるが、冬のボーナスの伸び次第では賃金の伸びが物価を上回る可能性もあるだろう。
その先は、政府による電気・ガス代補助金の実施が物価の押し下げ要因となる。今回の補助額はかなり大きく、これによりCPIコアは2、3月に▲0.6~▲0.7%Pt、4月に▲0.2%Pt程度押し下げられるとみられる。
この結果、26年2~3月のCPIコアは前年比+2%割れ、「持家の帰属家賃を除く総合」も前年比+2%程度まで鈍化するとみられる。
この場合、実質賃金も小幅とはいえプラスとなる可能性が高いだろう。このように、ボーナス増加や物価の鈍化を主因として、25年12月以降には実質賃金がプラスになる月も出てくるとみられる。
一方、懸念されるのが円安による物価上振れリスクだ。今後の為替レートの動向次第では、企業が価格転嫁を積極化させ、値上げが再び加速する可能性も十分ある。
その場合、食料品価格の鈍化ペースが想定よりも緩やかなものにとどまり、CPIが思うように鈍化しないという展開も十分ありうるだろう。
電気・ガス代補助の額が大きいこともあり、26年2、3月の実質賃金はプラスになる可能性が高いと思われるが、補助が縮小・終了に向かう4月以降については不透明感が残る状況である。
年度替わりである4月に値上げが前年以上に積極化する場合、4月以降の実質賃金が再びマイナス圏に沈む展開もあり得るだろう。
※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト 新家 義貴