名目賃金が大幅鈍化も、特別給与の一時的な下振れによるところが大きい
厚生労働省から公表された25年11月の毎月勤労統計では、現金給与総額が前年比+0.5%と、前月の同+2.5%から上昇率が大幅に縮小した。
名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金では同▲2.8%(25年10月:同▲0.8%)と11ヵ月連続で落ち込み、減少幅も大きく拡大している。
なお、報道等で言及されることが多いこの数字(本系列)は、調査対象事業所の部分入れ替えやベンチマーク更新等の影響により攪乱されることが多く、月次の賃金変化の動向を把握することには適さない。
そのため、1年前と当月の両方で回答している調査対象のみに限定して集計された「共通事業所」の前年比データを見る方が望ましい。
ただ、この共通事業所ベースでも25年11月は前年比+0.9%と10月の同+2.4%から大きく鈍化、実質賃金は前年比▲2.4%(10月:同▲1.0%)と11ヶ月連続で減少した。
賃金の上昇が物価上昇に追い付かない状況が続いている。
このように、本系列でも共通事業所でも名目賃金の伸びが大幅に鈍化しているが、今月は特別給与の大幅下振れによって下押しされた面が大きいことに注意が必要だ(本系列:前年比▲17.0%、共通事業所:同▲13.4%)。
ボーナス月以外の特別給与は支給タイミングのズレ等で大きく振れることが多いため、この点を問題視する必要はない。
また、後述のとおり営業日数が少なかったことで所定内給与が一時的に下振れた可能性もあるとみられる。
現時点で、名目賃金のトレンドに変化が生じたと見る必要はないだろう。11月分確報(1月23日公表)、12月分(2月9日公表)の結果も見て評価する方が良いと思われる。
