中国系ファストファッション大手SHEIN(シーイン)は、香港で予定している新規株式公開(IPO)を前に財務内容の詳細を初めて開示した。それによると、収益性と売上高の伸びは鈍化しており、今年最大級の一つとなる見込みのIPOを控え、同社のバリュエーションに下押し圧力がかかる可能性がある。

香港証券取引所に提出した書類によると、1-3月(第1四半期)の純損益は9900万ドル(約160億円)の赤字となった。前年同期は3億9500万ドルの黒字だった。償還可能転換優先株式の評価損3億2800万ドルを計上したことが主な要因だった。

営業利益は26%減少した。純売上高は90億5000万ドルと、伸び率は1.1%にとどまった。

2025年通期の純利益は20億6000万ドルで、24年の33億7000万ドルから減少した。

業績の勢いが鈍ったことで、投資家がSHEINの急成長の持続性に懸念を強め、待望のIPO時のバリュエーションを押し下げる恐れがある。ブルームバーグは今月、同社が早ければ8月の上場を目指していると報じた。20億-30億ドルの調達を目指す可能性があるが、最終的な金額はバリュエーションや投資家の反応次第となる。

今回の開示は、香港上場に向けた手続きの一環。同社はニューヨークとロンドンでのIPOを実現できないまま、長年にわたる遅れを経て香港上場の承認を得た。近年、SHEINは利益や売上高について大まかな見通ししか投資家に示しておらず、業績の実態を把握できる情報は限られていた。

同社の出資者には、IDGキャピタル、ムバダラ・インベストメント、タイガー・グローバル・マネジメント、HSGが名を連ねる。ブルームバーグは昨年11月、SHEINが25年の増収率を10%台半ばと見込んでいると投資家に伝えたと報じていた。だが今回の開示によると、純売上高の伸び率は8%と、見通しには届かず、24年の21%から鈍化した。

米インディアナ州にあるSHEINの配送センター(2025年)

中国本土で創業し、現在はシンガポールに本社を置くSHEINは、サプライヤーから直接配送する低価格の流行アパレルを武器に、世界的なファストファッション企業へと成長した。一方、米国の関税措置に加え、中東での戦争の影響で原材料コストが上昇。最終的に販売価格の引き上げにつながったことで、成長の勢いが鈍化した。

ブルームバーグが複数の小売り動向調査会社のデータを分析したところ、SHEINのウェブサイトへの世界全体のアクセス数とアプリのダウンロード数、米国での売上高は、今年に入り横ばいか減少傾向となっている。

SHEINは、トランプ米政権が800ドル未満の少額商品に適用される「デミニミス」関税免除制度を廃止したことが、米国での売上高と純売上高全体の伸びに悪影響を及ぼしたと説明。一方で、同国での販売動向は平常に戻ったという。

同社は、欧州連合(EU)が150ユーロ(約2万8000円)未満の輸入品に対する免税措置を廃止したことも、事業に重大な影響を及ぼす可能性があると明らかにした。25年通期と26年第1四半期は、売上高のおよそ3分の1を欧州が占めていた。同社は、このEU措置による影響は、米国のデミニミス廃止と同程度、あるいはそれ以上になる恐れがあるとしている。

SHEINは、米国や欧州など主要市場でPDDホールディングス傘下のTemuとの競争激化のほか、規制当局による事業運営の監視強化にも直面している。

ブルームバーグは2月、投資家がSHEINの企業価値を約300億ドルとするよう求めていると報じた。これは、23年の資金調達ラウンド時の660億ドルや、22年の最大1000億ドルを下回る水準だ。

原題:Shein’s Slowing Growth Disclosure Pressures IPO Valuation (1)(抜粋)

--取材協力:Shamim Adam.

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