日本を上回るペースで少子高齢化が進んでいる韓国と中国

アジアにおいて、日本を上回るペースで急速な少子高齢化に直面する国に韓国がある。韓国の合計特殊出生率は、2023年に0.72と世界で最も低い水準となるなど、少子化が深刻化している。

その後の合計特殊出生率は微増する動きがみられるものの、依然として人口維持に必要とされる水準(2.1)を大きく下回る状況が続いている。

この背景として、過酷な教育競争によって子供1人当たりの教育費が非常に高いことや、これにより首都ソウル首都圏に人口が一極集中し、不動産価格が高騰するなど生活コストが高止まりしていることが挙げられている。

さらに、企業規模間の労働格差を背景に、生活の安定を優先するために初婚年齢が遅くなるといった課題も指摘されている。

こうしたなか、韓国政府は若年層が結婚や出産を諦める要因とされる、住宅、育児、そして、雇用を重点課題に掲げて支援する動きをみせる。

住宅支援としては、子育て世代を対象とする低利での住宅ローンの所得制限撤廃のほか、公共住宅の供給を優先させるなどの取り組みを拡大させている。

また、妊娠や出産への直接支援のほか、不妊治療に対する支援を拡充するなど、希望する出産を後押ししている。

そして子育て世代(0歳児や1歳児)に対する現金給付拡充による子育てコストの軽減、男性の育児参画を拡充すべく、労働時間の短縮や男性の育児休業期間の延長といった制度整備を通じて企業文化の改善を促す動きもみられる。

さらに、人口政策の司令塔として、政府内でバラバラとなっている予算や政策を一元管理する権限を有する組織として「人口戦略企画部」を新設したうえで、基本計画に基づく政策推進を図る方針を示している。

とはいえ、これらの政策による効果は現時点において限定的であり、構造問題への取り組みが不可欠な状況にある。

韓国同様に急速な少子高齢化に直面しているのが中国である。中国では、1980年代から長らく「一人っ子政策」が採られてきたことが少子化を招く一端となってきた。

こうしたなか、2015年にこれを廃止して翌16年に「二人っ子政策」を、2021年には「三人っ子政策」を導入するなど、一転して出産奨励に舵が切られた。

しかし、現実には出生数の減少が続いており、2023年には902万人と過去最低を更新している。

翌24年は縁起が良いとされる辰年が重なった影響で出生数はわずかに増加したものの、長期的にみれば減少傾向に歯止めが掛からない状況が続いている。

なお、中国は合計特殊出生率を公表していないものの、足元では1.0程度と試算されている。

この背景として、親世代が一人っ子政策時代を暮らし、激烈な教育競争環境に直面してきたことが影響して、大都市部を中心に教育費が高騰するとともに、大都市部の不動産価格の高騰など生活コストが高止まりしていることが挙げられる。

一方、コロナ禍を経て若年層を中心に雇用回復が遅れるとともに、社会・文化的な影響による結婚のハードルの高さも重なり、晩婚化や非婚化の動きが広がる動きもみられる。

また、女性の就業継続と出産の両立が困難であるといった企業文化に根差した問題も影響している模様である。

こうしたなか、中国では、中央のみならず、地方が独自に少子化や子育て対策を強化する動きがみられる。

地方ごとにバラつきがあるものの、出産手当や育児補助金の支給のほか、子育て世代に対する税や社会保険料の優遇、住宅の購入補助や優先枠の設定などを通じた支援、第2子や第3子に対する追加的なインセンティブを設けるといった動きもみられる。

また、2025年には、全国レベルで3歳以下の子供を対象に1人につき年間3600元を支給する補助金制度を開始するとともに、教育コストの高さや競争が子育ての心理的ハードルとなっていることを受け、その削減(双減政策)を目的とする学習塾産業に対する規制強化といった動きもみられる。

また、3歳までの保育サービスの拡充のほか、産休や育児休暇の延長といった制度の拡充を目指す地域もみられる。

ただし、少子化対策を巡っては、地方政府間で過当競争が激化する様子も確認されており、その副作用として企業側がいわゆる『結婚適齢期』の雇用を減らす懸念も出ている。

つまり、地方と中央の間で政策運営を巡る「合成の誤謬」が生じており、中央が旗振り役にした戦略の練り直しが不可欠になっている。