(ブルームバーグ):高市早苗首相は30日、東京証券取引所で今年最後の取引となる大納会の式典に出席し、自身が掲げる「責任ある積極財政」で経済の好循環を目指す考えを重ねて示した。
高市首相は戦略的な財政出動を通じて、事業収益の改善や勤労者所得の増加につなげ、その結果「消費マインドも改善し、さらに事業収益が向上するという、この好循環を生み出す強い経済の構築を目指している」と述べた。
成長戦略を加速させていくためには「金融の力が必要だ」とも強調。「来年の夏までに、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための新しい戦略を策定し、官民連携で取り組んでいく」と語った。
現職首相が大納会に出席するのは2013年の安倍晋三、22年の岸田文雄両元首相以来。強い経済を実現する上で、「金融資本市場の役割は極めて重要」とも述べ、経済重視の姿勢を投資家らにアピールした形だ。
金融市場では株買い・円売り・債券売りの「高市トレード」と呼ばれる動きが注目を集めた。自民党総裁選前に4万5000円台だった日経平均株価が30日の終値で5万339円48銭と、5000円近く上昇した。
一方、日銀の利上げに加え、高市政権の財政拡張路線が意識されて長期金利(新発10年国債利回り)が今月に入り、1999年以来の2%台の高水準に上昇。為替市場では円安基調が継続し、輸入コスト上昇による物価への影響が懸念されている。円相場は30日午後4時40分現在、1ドル=156円付近で推移している。
高市首相にとって市場の信認を得つつ、経済政策を円滑に遂行できるかが26年の課題となる。
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