(ブルームバーグ):薬用酒メーカーの養命酒製造の非公開化に向けた入札で、米投資会社のKKRが優先交渉権を得た。買収価格などの条件を詰め、2026年1月にも株式公開買い付け(TOB)を実施する方向で調整している。事情に詳しい複数の関係者が29日、明らかにした。
関係者らによると、これまで2回の入札にKKRを含む複数のファンドが応札していた。養命酒の時価総額は800億円弱で、KKRが全株を取得する見通し。
今後の焦点は、養命酒の筆頭株主で、旧村上ファンド系関係者の野村幸弘氏が資金提供をする湯沢(東京都渋谷区)の出方だ。ブルームバーグのデータによると、発行済み株式の27.99%を保有する湯沢の応募なくしてTOBは成立しない。KKRは湯沢と協議し、条件が整えばTOBを実施する。
養命酒は今年の夏、非上場化などの資本戦略検討のため、財務アドバイザー(FA)に三菱UFJモルガン・スタンレー証券を選定して、複数の入札を実施していた。
養命酒とKKRからはコメントを得られていない。
養命酒は1923年、長野県で創業。55年に東証に上場し、現在は本社を東京都渋谷区に置く。看板商品の薬用養命酒に加え、ジンやのど飴なども販売する。大正製薬ホールディングスが長年大株主になっていたが、3月に保有する全株式を湯沢に売却していた。
現金や不動産などの資産が豊富で、渋谷区の一等地に本社も入る11階建てのオフィスビルを所有する。
--取材協力:長谷部結衣.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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