(ブルームバーグ):人工知能(AI)ブームによるデータ保存需要の爆発的な伸びは、半導体メーカーのキオクシアホールディングス株を2025年の世界トップパフォーマーの座に押し上げた。過熱感から10月以降、半導体関連株の値動きがグローバルで不安定になる中でもAI株人気が投資家の間で根強いことを物語っている。

キオクシア株の年初来上昇率は6倍を超え、世界株式全体の値動きを示すMSCIワールド指数の構成銘柄で上昇率トップだ。東証株価指数(TOPIX)でも1位となっており、20%台の両指数の上昇率を圧倒する。
24年12月に東京証券取引所へ上場した同社はNAND型フラッシュメモリーや生成AI向けの大容量記憶装置であるソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を製造。米国のアップルやマイクロソフトを顧客に抱え、時価総額は5兆7000億円弱に達する。
キオクシア株の高騰は、ハイパースケーラーと呼ばれる世界で大規模なデーターセンターやクラウドサービスを展開する企業群がインフラ整備を急ぐ中、メモリーやSSDへの需要が急拡大していることの表れだ。大手コンピューターメーカーは、今後メモリー不足に陥るリスクに懸念を示し、アナリストらは価格上昇の可能性を予測している。
アシンメトリック・アドバイザーズの日本株ストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は「テクノロジー分野では26年に向け主にメモリーに焦点を当てている」と言う。投資家はキオクシアの保有割合の引き上げか、あるいはSUMCOなど「二次的な関連銘柄」を求めるだろうと予測した。
もっとも、ここ数カ月は半導体やデータセンターなどAI関連株は調整を強いられており、26年の相場では上値が重くなる可能性は否定できない。キオクシア株も11月に第2四半期(7-9月)決算が市場の高い期待値に届かなかったことを受け、1日で20%以上も急落する憂き目に遭った。
ただ、アンバーザデ氏は「データセンター投資の減速懸念があっても、メモリー市場は既に大幅な供給不足にあり、来期に大きな悪影響は出ないだろう」と指摘。キオクシア株もAI市場の混乱を乗り切る可能性が高いとみている。

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