(ブルームバーグ):不適切会計問題に揺れるニデックは19日、創業者の永守重信グローバルグループ代表(81)が同日付で取締役などを辞任したと発表した。辞任は本人の意向によるもので、今後は非常勤の名誉会長となるという。
発表によると、代表権を返上するほか取締役会議長の役職からも離れる。取締役会議長の後任には2024年2月から社長兼最高経営責任者(CEO)を務める岸田光哉氏が就任するという。
永守氏は19日夜に発表した声明で、ニデックが早く再生し、生まれ変わることが一番の願いだと述べた。
また、不正経理の疑義で企業風土に問題があると指摘されている点に関し、創業者の自身が風土含めて築き上げたとして、世間に心配をかけた点について「申し訳なく思っている」とした。
今後の経営を岸田氏に全て委ねることで、「ニデックは、しっかり再生できると信じている」とした。
1944年生まれの永守氏は職業訓練大学校を卒業後、音響機器メーカーを経て73年に日本電産(当時)を創業した。1日16時間、元日の午前以外は毎日仕事をするという猛烈な働きぶりで知られ、一代で同社をグローバル企業に成長させた。だが、足元では不適切会計の疑義が浮上するなどガバナンス体制の懸念が指摘されていた。ブルームバーグのデータによると、永守氏は個人でニデック株の約8.3%を保有する筆頭株主でもある。
ニデックでは今年6月にイタリア子会社の関税未払い問題をはじめ、相次いで不適切会計の疑いが浮上。問題の調査で約3カ月遅れて提出した前期(25年3月期)の有価証券報告書で監査法人の意見が得られなかった。
ニデック株は10月下旬には東京証券取引所から特別注意銘柄に指定され、日経平均株価の構成銘柄からも除外された。一連の不適切会計については外部の弁護士などで構成される第三者委員会で今も調査が継続して進められ、全容が明らかになっていない。それもあって同社株は年初来で約30%下落していた。

岸田氏は11月の会見で、問題の背景には短期的な収益にこだわり過ぎる同社の企業風土があったとし、改善していく考えを示した。 「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」というニデックを象徴するモットーについても「必ず正しくやる」という新たな倫理観を加えることが重要との考えを示した。
プレッシャー
岸田氏はまた、ニデックの社風の中にプレッシャーがあるのは否めず、短期的にもうけた人だけが評価されるような人事制度や会計のプロセスなどが原因ととらえ、「その背景を徹底的につぶしていく」と決意を示していた。
モーニングスターの伊藤和典ディレクターは、第三者委員会の調査結果が出る前での辞任は「タイミングとしては意外」だったが、ニデックの企業文化は永守氏そのもので、企業風土改革をしていく中で永守氏が身を引く決断をした結論については「違和感がない」とした。今後市場の注目は岸田氏の進退に移っていくだろうとも述べた。
ニデックではカリスマ経営者として知られた永守氏への依存が大きく、後継者の確保が課題となっていたが、外部から引き抜いた幹部人材の流出が続いた。岸田氏に最高経営責任者(CEO)を譲った際も、ニデックの成長の原動力となってきた合併・買収(M&A)については自身が担当すると述べていた。
(永守氏のコメントを追加し更新します)
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