(ブルームバーグ):腕時計は理想的な贈り物だ。毎日身に着けられ、長く愛用でき、個性を映し出す。それは「時間」と「大切な人への理解」という真に価値あるものを示す象徴でもある。
だが、高価な腕時計を贈るには大きな決断を要し、失敗への不安も付きまとう。そこで筆者が薦める選び方は、贈る相手と共にさまざまなブランドの腕時計が並ぶ大規模店舗に足を運ぶことだ。シャンパンが振る舞われる特別な空間でブレスレットの調整や刻印を依頼し、共に選ぶ過程そのものが良い思い出になるだろう。
毎年、価格帯別の腕時計ギフトガイドを作成してきたが、今年は趣向を変えた。予算と相手の個性やニーズは別問題だからだ。予算が1000ドル(約15万6000円)だとしても、贈る相手がどのような腕時計を欲しいのかは分からない。ドレスウオッチやスポーツウオッチなど用途の違いに加え、ブレスレットやケースの素材、デザイン、さらにはダイヤモンドなどの宝石装飾まで、その種類は多岐にわたる。
そこで今回は価格ではなく「人物像」に焦点を絞った。筆者が実際に相談を受けた実例に基づき、比較的容易に入手可能なモデルを厳選した。
就職活動中のおいっ子に
ティソ「PR 100」
かつて1000ドル未満の価格帯で高品質なステンレススチールのスイス製クオーツ時計は選択肢が多かったが、タグ・ホイヤーなど多くのブランドは高級化路線や品質面での妥協に転じた。その中でティソは、500ドル未満のクオーツ時計や1000ドル未満の自動巻き時計における最適解だ。ロレックスやIWCを彷彿(ほうふつ)とさせつつ、単なる模倣ではない独自性も備える。多彩なサイズやカラーがそろう「PR 100」を含め選択肢は豊富だ。4万7300円。
ダイヤを愛する女性幹部に
ショパール「アルパイン イーグル33」
今秋初めにニューヨーク市で開催された腕時計コレクターのイベント「ローリーフェス」で銀行の女性幹部と同席した。機械式時計の最高峰技術を指す複雑機構への造詣が深い彼女だが、自身が身に着けたいのは「ダイヤ入り」だという。ショパールの「アルパイン イーグル33」は、堅牢(けんろう)さと華やかさを兼ね備えた好例で、33ミリという小ぶりなケースながら、クオーツではなく自動巻きムーブメントを搭載している。675万4000円。
初めて「本格的な」腕時計を求める人に
IWC シャフハウゼン「パイロット・ウォッチ・マークXX」
「本格的な」腕時計を求める相談には、必ず複数ブランドの比較を促すが、最終的に行き着く先は二つ。「買うべきだ」と感じるロレックスか、「一目ぼれ」したIWCかだ。後者を選んだ人の満足度は極めて高い。称賛を集め、服装を選ばず、不変の魅力を放つからだ。価格は手頃で、カラーや素材の選択肢も多い。「ポルトギーゼ」のほか、グリーンフェースで40ミリ径という完璧なサイズ感の「パイロット・ウォッチ」なら申し分ない。86万3500円。
同僚の時計が毎日変わる-そんな職場に勤める金融マンに
パネライ「ルミノール クアランタ」
同僚が日替わりで腕時計を変える職場環境とは驚きだが、興味深い課題だ。現在のお薦めはパネライの「ルミノール クアランタ」。屈強なルミノールながら40ミリ径と小ぶりで、スーツの袖口にも収まりが良い。近年、同社がコレクション全体で小型サイズを展開し始めたことは、細い手首を持つ愛好家にとって朗報だ。ラバーストラップ付きで、オンオフの切り替えも容易だ。117万7000円。
非営利団体の弁護士に
ノモス グラスヒュッテ「タンゴマット デイト」
社会的意義の高い職務を担う人物には、華美さを排し、静かな誇りを感じさせる腕時計がふさわしい。ノモスは色使いに遊び心を持つ優れたドイツブランドで、売り上げが民間非営利団体(NPO)「国境なき医師団」に寄付されるコレクションも展開するなど社会貢献の精神と合致する。多くの人に薦めてきた「タンゴマット」は直径38.3ミリ、厚さ8.3ミリと手首への収まりが完璧で、シースルーバックからのぞく精緻な作りも魅力だ。64万9000円。
堅実な妻に
ロンジン「ドルチェヴィータ ステンレススティール&18Kピンクゴールドクラウン」
妻に「奮発して高級時計を贈りたい」と伝えたものの、拒まれて断念した男性がいたが、諦めるべきではなかった。ロンジンなら手頃な価格で男女問わず使えるクラシックな美しさが手に入るからだ。特にこのモデルはケース径20ミリのクオーツ式で、流行に左右されず永く愛用できる。33万9900円。
脱ロレックス派に
ヴァシュロン・コンスタンタン「ムーンフェイズ・レトログラード・デイト」
ヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計を初めて購入する人は平均して既に8本の腕時計を所有しているという。まさに玄人好みのブランドだ。「オーヴァーシーズ」はオーデマピゲやパテックフィリップと並ぶスイス高級時計「三大ブランド」の一角が放つ代表的なスポーツモデルだ。レトログラード式の日付表示と鮮やかなエレクトリックブルーの文字盤は、ロレックスの「サブマリーナー」が並ぶ中でも圧倒的な存在感を放つ。756万8000円。
「やはり本命はロレックス」という人に
ロレックス「エクスプローラー 36 オイスタースチール&イエローゴールド」
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時の極端な供給不足は大幅に緩和され、「オイスターパーペチュアル」や「デイトジャスト」なら数週間での入手が可能になってきた。中でも「エクスプローラー」は比較的入手しやすく、現在のトレンドであるスチール&ゴールドのコンビ素材が選べる点も魅力だ。36ミリと適度なサイズ感で、暗所では大きめの数字とバーインデックスが発光するなど視認性も高い。194万3700円。
「静かな気品」を愛する女性に
カルティエ「タンク マスト ソーラービート」
女性への高価な腕時計選びで、カルティエを検討しない手はない。多くの男性が最終的に「タンク」を選び、妻たちはそれに満足して永く愛用するからだ。このスモールモデルは革新的なクオーツ式ムーブメントを採用。文字盤の微細な穴から光を取り込み、ソーラーバッテリーにより約16年間メンテナンスフリーで稼働する。60万5000円。
手頃でも妥協しない個性派に
ボーブルー「エッチェ スマルト」
1000ドル前後の価格帯にはバルチック、ファーラン・マリ、シーガルなど魅力的なインディーズ系ブランドがひしめく。英国発のスタジオ・アンダードッグも人気だが、入手には時間を要する。そこでホリデー直前の購入にはボーブルーを推奨したい。「エッチェ」は円形の針が回転する独創的な機構を採用。その動きと配色は魅力的で、周囲の視線を集めること請け合いだ。13万8000円。
「彼」へのプロポーズとして時計を贈る男性に
オメガ「スピードマスター ムーンウオッチ プロフェッショナル」
男性パートナーへのプロポーズには、世界有数の時計ブランドであるオメガ、とりわけ「スピードマスター ムーンウォッチ」を推したい。月面着陸を支えた腕時計で、「あなたのためなら月へ行って戻ってくる」というロマンチックな誓いを託せる。結婚という人生最大の冒険と信頼への大いなる跳躍の象徴として、これほどふさわしい1本はない。122万1000円。
差別化を図りたい人に
デニソン「天然石ラピスラズリ イン ゴールド」
スイスからの帰国便で見かけたカップルがデニソンの腕時計をペアで身に着けており、その異なる天然石の文字盤が洗練さを極めていた。ロレックスやオーデマ ピゲ出身のデザイナーが手掛けるこの新興ブランドは、シンプルなクオーツながら強い存在感を放つ。初心者から愛好家まで幅広く推奨できる1本だ。10万9600円。
シニア世代に
コーチ「アーデン」
ある年齢に達すれば、視認性の高い文字盤を求めるのは自然なことだ。機能的で美しく、気兼ねなく使える時計として、コーチの「アーデン」を推奨する。手頃な価格と端正なデザイン、3年保証に加え、セール時期の恩恵も受けやすい。シチズンやフォッシル、モバードと並び、実用的な選択肢となる。価格は159ドル。
原題:A Luxury Watch Gift Guide for Every Specific Person in Your Life(抜粋)
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