解決策は間に合うのか 膨れ上がる廃水量

この絶望的な状況に、一条の光は差しているのでしょうか。

近年、廃水を浄化し、再利用する技術開発への期待が高まっています。

最新の技術を使えば、有害な廃水を蒸留水レベルにまで浄化し、農業用水や建設資材、その他さまざまな産業用途に利用できる可能性があります。

もし、現在噴出している廃水の半分でもリサイクルできれば、地下への圧入量を大幅に減らすことができ、業界は一息つけるかもしれません。

しかし、課題は山積みです。技術はまだ発展途上であり、膨大な量の廃水を、いかに早く、そして経済的に処理できるかという大きなハードルが残っています。

その間にも、問題は悪化の一途をたどっています。

2018年頃には1日あたり800万〜1000万バレルだった廃水量は、今や2500万〜3000万バレルにまで膨れ上がりました。

油田は古くなるほど、産出する石油に対する水の割合が増えるため、この傾向は今後も続くと見られています。

西テキサスを不毛の荒野だと思われているかもしれませんが、実際はオオヤマネコなど野生動物が数多くいます。

経済的な繁栄の追求が、取り返しのつかない環境破壊につながる瀬戸際に私たちは立たされています。

廃水のリサイクル技術という希望の光が、大地を蝕む「ゾンビ」の増殖に追いつくことができるのか。

その答えは、石油業界と規制当局の、これからの決断にかかっています。