内部資料が明らかにしていた危険性 問われる企業と規制当局の責任

土地所有者たちは、自らの土地が汚染されていくのを黙って見ているわけではありません

牧場を所有するシュリー・ワット氏は、「シェブロン」をはじめとする複数の石油会社を提訴しました。

しかし、シェブロン側は疑惑を否定し、法廷闘争は今も続いています。
一方で、規制当局であるテキサス鉄道委員会(その名に反して鉄道とは無関係の、石油・ガス業界の監督官庁)の対応にも疑問符が付きます。

情報公開請求によって明らかになった内部資料からは、委員会が浅層圧入の危険性を明確に認識していたことが見て取れます。

2023年10月に業界団体向けに行われたプレゼンテーション資料には、「貯留層圧力上昇による危険」というスライドが存在し、「坑井の損傷」「封じ込めの失敗」「地表への流出」「地下の飲料水資源への害」といったリスクが具体的に列挙されていました。

危険を十分に知りながら、なぜ計画を進めたのか。その姿勢が厳しく問われています。

委員会は、「パーミアン盆地全域の地震を減らすことに成功した」とコメントし、環境と公共の安全を守るために規制を微調整していくと述べています。

しかし、現場で起きている「ゾンビ井戸」の問題は、その場しのぎの対策が新たな悲劇を生むことを雄弁に物語っています。