米フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は9月30日、トランプ米大統領の政策によってガソリン車が復活する一方、電気自動車(EV)の見通しは厳しくなるという認識を示した。

トランプ政権はEV購入に7500ドル(約111万円)の税額控除を付与する措置を同日終了させ、排ガス規制も緩和した。

ファーリー氏はフォードが主催したブルーカラー雇用に関する会議で、こうした政策が米国のEV需要を急激に低下させ、国内市場の約10%を占めるゼロエミッション車のシェアを半減させる可能性があると指摘。

「米国でのEVシェアが5%に落ち込んでも驚かない」とし、EV市場は想定よりはるかに小さくなると語った。

トランプ政権下で自動車業界の環境が急激に変化する中、大手メーカーの多くはEVの生産計画を延期し、投資資金を燃料で動く自動車やハイブリッド車に振り向けている。フォードは低価格EV路線へとシフトしている。

フォードのEV部門「モデルe」の損益は4-6月(第2四半期)に約13億ドルの赤字となった。同社の予想では通期の赤字額は最大55億ドルに達する見通し。

こうした中、ファーリー氏は、ガソリンと電気を組み合わせるハイブリッド車のような「部分的な電動化」にビジネスチャンスがあるとみていることを明らかにした。

純粋なEVは「短距離移動」の通勤車に最適で、市場シェアは5-7%に過ぎず、バッテリーやEVの生産工場にハイブリッド車の生産ラインを追加する検討を進めているという。

原題:Ford’s CEO Sees Trump Policies Cutting US EV Market in Half (1)(抜粋)

--取材協力:David Westin.

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