自民党総裁選の立候補者は、過半数が株式を保有していないことがブルームバーグの調べで分かった。

総裁選に出馬した5人のうち、小泉進次郎農相と高市早苗前経済安全保障担当相は現時点で、小林鷹之元経済安保相は2024年末時点で株式や有価証券を保有していない。林芳正官房長官は株式を、茂木敏充前幹事長は株式と有価証券を昨年末時点で保有していた。各陣営へのヒアリングと、衆議院に提出された「資産等報告書」や「資産等補充報告書」を基にブルームバーグが集計した。

小泉氏、高市氏、小林氏は前回1年前の総裁選時の調査でも保有していなかった。4銘柄を保有している林氏は銘柄や実質保有数に変化はない。前回6銘柄を保有していた茂木氏はあいホールディングスがなくなり、5銘柄に減少。有価証券では「ひふみワールド」「ひふみ投信」の記述がなくなった半面、「金銭信託」が3000万円超増えた。前回は9候補のうち5人が株式を保有していた。

次期総裁の経済や財政、金融政策に対する姿勢が株式相場の方向性を左右するため、総裁選への市場の注目度は高い。政府は家計金融資産の現預金偏重を是正して成長と資産所得の好循環につなげようと、少額投資非課税制度(NISA)の創設、強化などを行い、株価指数はことし史上最高値をつけた。新総裁が次期首相になれば、株式保有歴の有無が資産運用立国への政策や投資税制面での温度差を生む可能性がある。

保有は「政策感応度を高める」

「貯蓄から投資へ」という政府の号令に対し、候補者の株式保有は総じて控えめと言える。この点に関して、コモンズ投信の伊井哲朗社長は「マーケットは経済の体温計。政策がどう経済に影響を与えるかの政策感応度や手触りを高めるためにも、株式を保有していた方がベターだ」と話す。

株式や有価証券の保有方針などについて、ブルームバーグが各候補者の事務所に問い合わせたところ、林氏と茂木氏の担当者は報告書以上のことは開示していないと答えた。小泉氏と高市氏の担当者はコメントを控えた。小林氏の担当者からは9月30日時点で回答がなかった。

(注)候補者は五十音順、株式は上場銘柄のみ。出所:衆議院

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