トランプ米大統領は29日、イスラエルのネタニヤフ首相が同国とイスラム組織ハマスの戦争終結を目指す20項目から成る計画に同意したと明らかにした。ただハマスは直接関与しておらず、和平の見通しは依然として不透明だ。

トランプ氏は、ホワイトハウスで同日行ったネタニヤフ氏と首脳会談後の共同会見で、同計画は中東やイスラム諸国の他の指導者からも支持が得られていると説明。中東地域の広範な平和へと道を開く可能性があると示唆した。ただ「ハマスが拒否すれば」、ネタニヤフ首相がハマスを壊滅させることを「全面的に支持する」と警告した。

トランプ大統領が記者会見で語る

さらに「ガザでの戦争をどう終わらせるかについて話し合ったが、それは中東和平という、より大きな枠組みの一部に過ぎない。中東における永遠の平和と呼ぼう」と語った上で、「これは誰も予想していなかったほどの規模であり、中東諸国から得ている支持の大きさを物語っている」と述べた。

これに先立ちホワイトハウスが公表した計画では、双方が受け入れれば即時停戦が実現し、72時間以内に人質全員と遺体が返還されると定めている。さらにイスラエルは約2000人の囚人を釈放し、ガザを占領・併合しないことが盛り込まれた。

住民にはガザにとどまるよう促し、支援の即時再開を約束。荒廃したガザを経済発展によって復興するための「専門家パネル」設置が提案された。

ハマスに対しては、ガザ統治に直接的にも間接的にも関与しないことに同意するとともに、「公共サービス運営を担う実務者による非政治的なパレスチナ委員会」に統治権を移管することが求められている。同組織はトランプ氏が議長を務める「平和評議会」の監督下に置かれ、ブレア元英首相を含む他の世界の指導者も参加する枠組みとなる。

合意が履行されれば、将来的にパレスチナ国家の条件が「ようやく整う可能性がある」とも記されている。だが、ハマスがこの条件を受け入れるかどうかは不透明だ。

ハマスはトランプ氏とネタニヤフ氏の会談に先立ち、まだ計画を見ておらず、精査が必要だと表明していた。

ネタニヤフ氏は記者会見で、戦争終結に向けたトランプ氏の計画を支持すると述べ、「われわれの戦争目的を達成する」と語った。さらに「イスラエルは当面、治安境界を含め安全保障上の責任を保持する」とした。

ネタニヤフ首相が記者会見で語る

一方、ネタニヤフ氏は29日、ホワイトハウスからカタールのムハンマド首相に電話をかけ、同国の首都ドーハで今月、イスラム組織ハマス幹部を標的にミサイル攻撃を行ったことについて「深い遺憾」の意を伝えた。米政府が明らかにした。

イスラエルとハマスの仲介役であり、地域最大の米軍基地を擁するカタールはこの攻撃に激怒し、他のアラブ諸国も同様の反応を示していた。

ホワイトハウスの発表によると、ネタニヤフ首相は会談でカタールの警備員1人が死亡したことについても遺憾の意を伝えた。電話会談はトランプ氏が設定した。

トランプ氏は、ムハンマド、ネタニヤフ両氏が「率直な」対話を行ったと述べ、3カ国間で正式な作業部会を立ち上げることで合意したと強調した。この枠組みで「相互の安全保障を強化し、誤解を正し、将来の不信を回避する」ことを目指すとしている。

原題:Trump Says Netanyahu Agreed to 20-Point Plan to End Gaza War (1)Trump Says Netanyahu Agreed to 20-Point Plan to End Gaza War (2)、Netanyahu Tells Qatar He Regrets Strike in Call Set Up by Trump(抜粋)

(カタール攻撃を巡るネタニヤフ首相の対応などを追加して更新します)

--取材協力:Josh Wingrove、Jordan Fabian.

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