バンス米副大統領は29日、米国が連邦政府機関の閉鎖に向かっているとの認識を示した。政府機関閉鎖となった場合、責任は民主党にあると主張したい考えだ。

バンス氏は、ホワイトハウスで議会指導部との会合後に「民主党が正しいことをしようとしないため、政府閉鎖に向かっていると思う」と指摘。「考えを改めてほしいが、どうなるか見ていくことになる」と語った。

米国では2026会計年度(25年10月-26年9月)の予算が未成立のため、つなぎ予算が成立しなければ、10月1日から政府機関の一部が閉鎖に追い込まれる恐れがある。

トランプ大統領は、10月1日の政府閉鎖期限を36時間足らず後に控え、共和・民主両党の議会指導部と会談した。しかし、民主党が求める医療保険補助金の延長や、先に成立したトランプ氏の看板政策である大型減税・歳出法に盛り込まれたメディケイド(低所得者向け公的医療保険)予算削減の撤回については、双方の溝は埋まらなかった。

バンス副大統領は、米国が連邦政府機関の閉鎖に向かっているとの認識表明

民主党のシューマー上院院内総務は会合後、「われわれの間には引き続き大きな隔たりがある」と語った。その後、議会に戻ったシューマー氏は、民主党が優先課題の一部で妥協する可能性を示唆。「大統領の手に委ねられている」とコメントした。

他方、共和党のラウンズ上院議員は、同僚議員と共に妥協の可能性について協議していることを明らかにした。ラウンズ氏は、民主党が政府閉鎖回避に同意すれば、数日以内にそのような合意をまとめられる可能性があるとしている。

政府閉鎖回避に向けた共和党のつなぎ予算案はすでに下院を通過。同党は上院でも多数を占めているが、つなぎ予算案を可決するには、まず手続き上のハードルをクリアする必要がある。共和党では少なくともポール上院議員が反対姿勢を示していることで、同党指導部は少なくとも計8人の民主党上院議員の賛成票を必要としている。

共和党のスーン上院院内総務は、11月21日までのつなぎ予算案の承認を民主党が拒んでいることについて「人質戦術に等しい」と批判。ただ、目先の期限に対処した後に民主党と協議する意向をあらためて示した。

政府機関閉鎖となれば、10月3日に発表予定の9月の雇用統計を含む主要な経済指標の公表が遅れる。また、数十万人規模の連邦職員が少なくとも一時帰休となり、その他の政府職員は不可欠な業務を維持するために無給で勤務せざるを得なくなる。

バンス氏は、民主党の主張の中には大統領が「合理的」と考えるものもあると発言。妥協の可能性がある分野として、地方の医療関連予算への対応を挙げた。また、「不可欠なサービス」は政府閉鎖中も継続すると記者団に語った。

指標発表にも影響

米労働省労働統計局は29日午前、政府閉鎖となった場合には経済指標公表を延期する方針を明らかにした。これを受けて米国株は上げ幅を縮小した。

連邦政府機関が閉鎖に追い込まれれば、トランプ政権1期目の2018-19年にかけて5週間にわたった閉鎖以来となる。

トランプ氏は、政府閉鎖の場合に大量の連邦職員を恒久的に解雇すると警告し、経済への影響を一段と強める形となっている。過去の閉鎖時には、一時帰休となった職員は政府再開後に職場復帰し、賃金の遡及(そきゅう)支払いを受けてきた。トランプ氏の脅しにもかかわらず、各政府機関の閉鎖計画には、解雇に関するプランはこれまでのところ見当たらない。

民主党のジェフリーズ下院院内総務は29日、記者団に対し、つなぎ予算案について、賛成票の見返りに将来的にヘルスケア政策で協力するという、共和党の口約束だけでは、民主党として受け入れるつもりはないと記者団に説明した。

民主党は、保険料が来年1月1日に急上昇するのを防ぐため、中間層世帯に対する医療保険制度改革法(オバマケア)税額控除の恒久的延長に向け、3500億ドル(約52兆円)を支出したい考えだ。

また、トランプ氏推進の大型減税・歳出法に盛り込まれたメディケイド削減措置の撤回も求めている。さらに、医療研究費の削減を取り消し、ホワイトハウスが過去に成立した歳出を撤回できないようにすることも目指している。

ジェフリーズ氏は共和党に関し、「ヘルスケアを巡る彼らの言葉を信じることはできない」と述べ、同党が10年余りにわたりオバマケアの撤廃を試みてきたと指摘。「米国民はそれが不合理なことだと理解している」と話した。

 

原題:Vance Says US Headed for Shutdown After Talks With Democrats (2)(抜粋)

(民主党のシューマー上院院内総務の発言などを追加して更新します)

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