「○○ガチャ」の流行
2021年に「親ガチャ」が流行語大賞にノミネートされたことは記憶に新しいと思います。
その派生で最近では、職場での不運を嘆き、「上司ガチャ」「配属ガチャ」「同期ガチャ」といった言葉も出てきています。
「○○ガチャ」というのは、まるでカプセルトイでランダムに出てくるアイテムのように自分で選べず当たりはずれがあることを表現した言葉です。
これらに共通するのは「運は選べない」という諦めの姿勢であり、「ガチャの結果」に失敗感を感じてしまうと、仕事へのモチベーションが低下し、会社に行く気力すらなくなってしまうという状態に陥りかねません。
「運」の文脈でよく引用される話として、松下幸之助氏が採用面接の最後に「あなたは運がいいですか?」と聞き、「運が悪い」と答えた人を全員不採用にしたという話があります。
「運」とは「運ぶ」という文字通り、たとえ(客観的にみると)運が悪いことが起こったとしても、自分の考え方や行動次第で自らの人生を良い方向に切り拓けるものと言われています。
松下氏はまさに「自分は運が良いと言い切れる=どんな出来事も自分の力で良い方向に変化させることができる」人を求めていたということです。
「適材適所」のキャリア理論は古い?
従来のキャリアの考え方は、マッチング理論、つまり、個人の持つスキルや能力(=特性)と、それぞれの仕事が必要とするスキルや能力(=因子)をマッチングさせることが、よい職業選択であるという考え方をベースにしていました。
簡単にいうと職業選択には適材適所が重要であり、「未決定(=ぴったりの職業が見つからず、キャリアが定まらない状態)」を減らすことを目指すものでした。
しかし、この適材適所を重視しすぎると、特に変化の激しいVUCAの時代で、職業自体が変化し続ける事実や様々な特性を持つ人が同じ職業で活躍できている状況等を無視することになり、疑問視されるようになりました。