(1) 日銀利上げ観測の上昇
長期金利は、将来(今後10年間)の政策金利予想とリスクプレミアムに大きく分けられることから、まず、将来の政策金利予想を表す10年物OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)金利の動きを確認すると、年初に1.0%台だったものが3月下旬にかけて1.4%まで上昇した。
その後は4月に一旦急低下して1%を下回ったものの、再び上昇に転じ、直近では1.3%付近と殆ど元の水準に戻っている。
この動きは、日銀の中長期的な利上げ観測が、2025年春闘での高い賃上げを受けて3月にかけて高まった後、トランプ政権による関税の大幅な引き上げ表明を受けて4月に一旦大きく後退したものの、主要国(日本を含む)と米国との協議が進んで関税の引き上げ幅が圧縮されたことなどを受けて、再び持ち直したことを示唆している。
また、春闘での高い賃上げの実現や食品価格等の上昇に伴う物価上昇率の高止まりを受けて、市場の予想物価上昇率(ブレークイーブン・インフレ率)が高止まりしていることも日銀の利上げ観測持ち直しの背景にあると考えられる。
