ミケーレ氏との決別で再起なるか

この状況を打開するため、フランソワ=アンリ・ピノーはグッチを最高級ブランドへと引き上げる方針を掲げ、2024年2月の決算発表でもエルメスやシャネル、ルイ・ヴィトンと同じ舞台で戦う決意を示しました。

しかし、同じ宣言は2006年から繰り返されてきたものです。

一部の専門家は、ピノー自身の経営スタイルに問題があると指摘します。

LVMHでは重要な決定をトップであるアルノー自身が下すのに対し、ピノー氏は各ブランドにより多くの裁量を与え、いわば放任的な姿勢でブランドの自主性を重視してきました。

2022年のバレンシアガのスキャンダル(広告キャンペーンでの子どもの不適切な描写)も、この経営スタイルの一例とされています。

2022年、グッチはクリエイティブ面での意見の相違からミケーレと決別し、2023年初頭にヴァレンティノ出身の比較的無名なデザイナー、サバト・デ・サルノを後任に抜擢しました。

彼の初期のデザインはミケーレより控えめで、ピノーの目指す高級路線に沿うものでした。

ピノーはグッチを真のラグジュアリーブランドへと導きたいと願っています。

しかし、その道のりは決して容易ではありません。

それは短距離走ではなく、まさにマラソンのような長い戦いとなるでしょう。

グッチの再起は、ケリング全体の未来を左右する重要な課題です。

真のラグジュアリーブランドとして再び輝きを取り戻す事はできるのでしょうか?