輝かしいミケーレ時代…からの転落

グッチとケリングにも輝かしい時期がありました。

それは、2015年にクリエイティブディレクターに就任したアレッサンドロ・ミケーレの時代です。

ミケーレの就任後、グッチは目覚ましい成功を収めました。

2016年には「マーモント」や「ディオニュソス」といったバッグを、その前年にはファー付きローファー「プリンスタウン」を発売し、これらは若い世代の心を強く捉え、センセーショナルな話題を呼びました。

ボヘミアンでありながら華やかで上品なミケーレのデザインは、この時期にケリングの企業価値を4倍に、グッチの売上を3倍以上にも押し上げました。

しかし、トップブランドの座を守り続けることは容易ではありません。

ファッション業界の頂点に立ち続けるには、新鮮さを保ちながら絶妙なバランスを取り続ける必要があり、それを長期的に維持することは非常に困難です。

ファッション専門メディアが発表するブランドランキングでも、グッチの順位は下落傾向にあります。

2020年以降、グッチ、そしてケリングの業績は悪化の一途を辿り、売上は度々、目標を下回り、株価も大きく下落することになりました。