米国産の蒸留酒の輸出が低迷している。カナダの小売業者が米国産アルコール飲料の取り扱いを依然として控えるなど、トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争の余波が世界の酒類市場に広がっているためだ。

米蒸留酒協会(DISCUS)が6日に公表した報告書によれば、4-6月(第2四半期)のバーボンなど米国産蒸留酒の輸出は、前年同期比で9%減少した。最も大幅な減少を見せたのが、対米報復関税を発動したカナダへの輸出。85%減り、1000万ドル(約15億円)未満となった。

カナダでは、州政府が運営する販売店から米国産の蒸留酒がほぼ姿を消し、米酒類メーカーは打撃を受けている。カナダが先月、対米報復関税の多くを撤廃した後も、米国以外のメーカーが優位に立っている。

「ジャックダニエル」を製造する米蒸留酒メーカーのブラウンフォーマンは8月、投資家に対し、カナダでの売上高が今回の対立で約60%減少したと説明した。

 

米蒸留酒業界にとって最大の海外市場である欧州連合(EU)向けの輸出も、12%減の2億9030万ドルとなった。英国と日本向けも、それぞれ20%余り落ち込んだ。

米蒸留酒協会のクリス・スワンガー最高経営責任者(CEO)は声明で、「持続的な貿易摩擦が、米蒸留酒輸出に即時の悪影響を及ぼしている」と指摘。

トランプ大統領に対し「長年の貿易パートナーとの無関税の貿易への恒久的な回帰を促す」よう求めた。

原題:Anti-Trump Liquor Boycotts Are Squeezing US Spirits Exports(抜粋)

--取材協力:Max Rivera.

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