時代ごとに変わる子育ての「正解」

育児方針は時代の影響を受けやすく、今の若い親と祖父母の育児方法や環境には、様々な違いがみられる。

たとえば、祖父母が子育てをしていた当時は、離乳食を親が噛み砕いて子どもに与えることが一般的だったが、現在ではむし歯の原因菌がうつる可能性があることから口移しや食器の共有を避ける親も多い。

同様に、近年は紫外線による肌への悪影響などから乳児の日光浴に慎重になる傾向があるが、かつては積極的に取り入れられていた。

育児方法だけでなく、「こうあるべき」という育児観も変化している。

かつては「子どもが3歳になるまでは母親は育児に専念すべき」という価値観(三歳児神話)も根強く、子どもの出産を機に退職する母親が多かったが、今では子どもが0~1歳のうちから保育園に預け、仕事を続ける母親が増えている。

ただし、祖父母世代にも、その時代ごとに「新しい正解」とされてきた育児理念や方法があり、それを信じて一生懸命に子どもを育ててきた。こうした育児方針をめぐる世代間ギャップが、世代を超えて連綿と続いていくのは、ある意味では避けがたいことともいえる。

加えて、育児の知識や技術の多くは、これまで祖父母世代から親世代へ直接伝えられてきたが、インターネットやスマートフォンの普及によって、祖父母に聞くより先にスマートフォンなどで自ら手軽に調べる親世代が増え、両世代の知識や意識の差がこれまで以上に広がっている。