トランプ米大統領は17日、ホワイトハウスでのウクライナのゼレンスキー大統領との会談後、ロシアとウクライナに両国に対して「合意を結ぶ」よう促した。一方でウクライナがロシアを交渉のテーブルに引き出す上で必要だとするトマホーク供与などの支援には応じなかった。

ゼレンスキー氏は今回の会談について、米国による先進的なミサイル供与や安全の保証の約束を得ることで、ロシアのプーチン大統領への圧力を強める契機になると期待していた。

一方、前日にプーチン氏と電話協議を行い、ハンガリーで会談することで合意していたトランプ氏は、軍事支援とロシアへの追加制裁の可能性双方についてあいまいな姿勢を示した。その上で、ロシアとウクライナ両国に対して今すぐ戦闘をやめるよう求めた。

トランプ氏は会談後、ゼレンスキー氏に対して「プーチン大統領にも強く伝えたように、殺りくを止め合意を結ぶ時だと伝えた!」とSNSに投稿。「もう十分に血は流された。領土の線引きは戦争と勇気によって定められている。彼らは今いる場所で止まるべきだ」と述べた。

今回の会談は、ゼレンスキー氏にとっては、失望となるだろう。同氏はここ数週間、戦闘終結に応じようとしないプーチン氏に対するトランプ氏のいら立ちを利用しようとしていた。ゼレンスキー氏は、トランプ氏によるパレスチナ自治区ガザ停戦の仲介を追い風に、プーチン氏への圧力を米国に強めさせたいとも期待していた。

一方で、トランプ氏は、プーチン氏には交渉の意思がないと訴えるゼレンスキー氏などの主張を再び退けた。ロシア産原油を購入する国々への高関税賦課による圧力強化を促す上院主導の動きからも、距離を置いたように見える。トランプ氏は16日にそうした措置を講じる時期ではないと述べていた。

こうした展開により、ゼレンスキー氏と欧州の同盟国は、トランプ氏に行動を促しプーチン氏に妨害され、再び働きかけを試みるという循環に再び戻る形になった。

元駐ウクライナ米大使でアトランティック・カウンシルのユーラシア・センター特別研究員、ウィリアム・テイラー氏は「トランプ氏はプーチン氏に圧力をかける必要がある。プーチン氏が明らかに障害だ」と指摘。「ゼレンスキー氏は、戦闘を止めたいと考えている」と述べた。

ゼレンスキー大統領が、ホワイトハウスでのトランプ大統領との会談について記者団に語る

トランプ氏は今後数週間内にプーチン氏と会談する予定だ。両者の会談は、明確な成果につながらなかった米アラスカ州の米軍基地での前回会談から3カ月足らずで行われる形になる。

トランプ氏は、プーチン氏とゼレンスキー氏それぞれと個別に会談する可能性を示唆した一方、両者が直接顔を合わせて会談するという以前の構想を後退させたように見える。「2人の指導者は互いに好ましく思っていない。皆が心地よく過ごせるようにしたい」とトランプ氏は述べた。

同氏は17日、プーチン氏が再会談に同意することで時間稼ぎをしている可能性があることを認めた。ただ、今もプーチン氏は戦争を終わらせたいと考えていると記者団に語り、プーチン氏に操られているとの懸念を一蹴した。

プーチン氏が時間稼ぎを狙っているのではと懸念しているかとの問いに対しては「ああ、そう思う」と答えた。

「しかし、これまで多くの人に利用されてきたが、最終的には非常にうまくやってきた」と語り、「かなりこうしたことが得意だと思う。プーチン氏は合意を望んでいる」と続けた。

この発言により、トランプ氏とゼレンスキー氏の間に大きな溝があることも浮き彫りになった。

トランプ氏は、和平交渉についてプーチン氏が「実現したがっている」と発言。一方、ゼレンスキー氏は「われわれは平和を望んでいるが、プーチンは望んでいない」とし、ロシアを交渉の場に引き出すため、米国の支援と先端兵器の供与を求める立場を明確にした。

ゼレンスキー氏は会談後、記者団に対し、米国の支援についてはさらなる協議が必要だと発言。ウクライナがトマホーク供与を求めたことについて質問を受けると、「この議題は誰も取り下げたわけではない。われわれはもっと取り組む必要がある」と話した。

またトランプ氏との会談について、長い時間をかけ生産的だったとする一方、最終的なプーチン氏との協議では領土問題や停戦の順序を巡り厳しい交渉になるだろうと想定しているとも語った。

原題:Trump Tells Russia, Ukraine to Stop the War ‘At the Battle Line’(抜粋)

(情報を追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.