家事育児という「見えない労働(シャドウワーク)」がキャリア形成に及ぼす影響

子どもの誕生前にキャリアプランを描いていたキャリア形成意識の高い就労者であっても、子どもの誕生後にそのキャリアプランを変更・喪失を経験した人が男女ともに半数にのぼるという。

子育て期の社員を抱える職場は、そのような社員の子育てと仕事の「両立」を支援するのと同時に、子育て期のキャリア「形成」を支援することが求められる。そのためには、上司やロールモデルなど身近な人からの直接的な支援が有効である。

一方で、キャリアに関する身近な支援者は、職場の人間だけに限らず、ともに子育てを担う「配偶者」の存在も大きいと考えられる。

家庭内での子育てや家事は、「見えない労働(シャドウワーク)」と呼ばれ、本来は「労働」であるのにもかかわらず、賃労働と比較して、その価値が過小評価されてきた。

共働き家庭であっても、多くの場合、その負担は女性に偏りがちで、そのことが職業上のキャリア形成に影響を及ぼしてしまう可能性がある。

本稿では、2025年3月に実施したアンケート調査をもとに、夫婦間の家事・育児分担に対する満足度が、キャリア形成意識にどのような影響を与えるかについて考察する。