(ブルームバーグ):高市早苗首相は16日午前の参院予算委員会で、日中関係悪化の引き金となった自身の台湾有事を巡る11月7日の国会答弁への「反省」に改めて言及した。野党議員が求めた撤回には応じなかった。
立憲民主党の会派に所属する広田一氏(無所属)への答弁。台湾有事が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得るとした発言に関し、首相は「従来の政府の立場を超えて答弁したように受け止められたこと、これを反省点として捉えて今後の国会での議論に臨みたい」とその後国会審議で説明していると語った。
広田氏は同答弁を撤回するよう求めたが、首相は存立危機事態の認定について「実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合的に判断するという政府の立場は一貫している」と説明するにとどめた。

集団的自衛権を行使できる存立危機事態認定の前提となる「密接な関係にある他国に対する武力攻撃」に関し、広田氏は「密接な関係のある他国」に台湾が含まれるかについても首相の見解を求めた。
首相は「米国以外の外国がこれに該当する可能性は現実には相当限定されると考えられる」と指摘。台湾については「あらかじめ特定されているものではなく、武力攻撃が発生した段階において個別具体的な状況に即して判断される」とし、明言しなかった。
台湾有事を巡る答弁から1カ月以上経過したが、日中関係の悪化は続いている。日本側は冷静に対応するとしているが、中国の傅聡国連大使は15日、国連安全保障理事会の会合でも首相発言を「中国の内政への露骨な干渉」と批判し、撤回を要求。木原稔官房長官は16日午前の記者会見で、日本側が「その場で適切に反論を行った」ことを明らかにした。
(中国国連大使の安保理会合での発言を追加し、更新しました)
--取材協力:下土井京子.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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