(ブルームバーグ):オンライン決済サービス大手の米ペイパル・ホールディングスは、米国で銀行業務に進出するための申請を行った。フィンテック企業の銀行システム参入に対するトランプ政権の寛容な姿勢を好機として生かす狙いがある。
ペイパルは15日の発表文で、ユタ州の産業融資会社(ILC)としての認可を取得するため、米連邦預金保険公社(FDIC)とユタ州金融機関局に申請書を提出したと明らかにした。
この申請が認可されれば、「PayPal Bank(ペイパル・バンク)」は同社の中小企業向け融資機能の強化に寄与する見通しだ。声明によれば、同社は2013年以降、累計で300億ドル(4兆6400億円)余りの融資・資金提供を行ってきた実績がある。

ペイパルのアレックス・クリス最高経営責任者(CEO)は発表文で「成長や事業拡大を目指す中小企業にとって、資金調達は引き続き大きな障壁だ」と指摘。「PayPal Bankを設立することで、当社の事業基盤を強化して効率性を高め、全米の中小企業の成長と経済的機会を一層強力に支援できるようになる」と説明した。
サークル・インターネット・グループ、リップル、パクソスなどのステーブルコイン発行企業は先週、銀行免許取得に向けた初期的な規制面の承認を得た。トランプ政権2期目が1月に発足して以降、バイデン前政権時とは対照的に銀行免許への関心が急増している。前政権下では、承認が極めて難しいと認識されていたため、申請件数自体がごく少なかった。
こうした環境の変化を背景に、暗号資産(仮想通貨)関連企業だけでなく、日産自動車の金融部門も今年、ペイパルと同様のILC免許を申請しており、ソニーグループも銀行免許の取得を目指して申請している。
ペイパルは既にルクセンブルクで銀行免許を取得しており、今後は利息付きの預金口座の提供など、個人向け金融商品の拡充にも意欲を示している。
PayPal Bankが認可された場合、同行の初代社長には、トヨタ自動車の金融部門でCEOを務めた経歴を持つマーラ・マクニール氏が就任する予定だ。
原題:PayPal Applies to Become a Bank as US Loosens Regulatory Reins(抜粋)
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