家事・育児の分担に満足している女性は、キャリアプランを描いている
拙稿「キャリアを決めるのは自分か、会社か〜キャリアプランをもつ人の少なさから考える「キャリア自律」支援〜」でも述べたように、現時点でキャリアプランを描いている人は少数派である。
ゆえに、キャリアプランを有する人とは、キャリア形成意識の高い希少な層だと捉えることができる。
図表は、そのようなキャリアプランを子どもの誕生前には持っていたというキャリア形成意識の高い男女のうち、現在「5年後のキャリアプランを描いている」人の割合を配偶者との育児分担・家事分担との満足度別に比較したものである。
まず男女ともに、家事・育児の分担に満足している人のほうが、5年後のキャリアプランを描けている傾向にあるが、とりわけ女性でその差が顕著である。
特に、配偶者との家事分担については、男性の場合は、家事分担の満足度とキャリア形成意識に明確な関連はみられないが、女性の場合には、家事の分担の満足度によって、キャリア形成意識に大きな差が生じている。
近年、男性の家事時間は増加しているものの、いまだ女性に偏りがあり、洗濯や食事づくりなどの日常的に欠かせない家事は妻が担っているケースが多い。男性の家事へのかかわりは、その時間や内容を踏まえても、依然として補助的な側面が強いと考えられる。
このような状況のなか、妻が満足する水準まで家事分担ができている場合、それは妻のキャリア形成を後押しする行為とも考えられ、こうした夫婦関係が妻のキャリア意識向上に寄与していると考えられる。