ファニーメイ (連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)は、バランスシートの住宅ローン担保証券(MBS)と住宅ローン保有額が、最近数カ月で数十億ドル増えた。検討される株式公開に先立ち、貸出金利を引き下げ、収益性を改善させる意図があるのではないかと受け取れる。

米政府支援機関(GSE)のファニーメイとフレディマックは、住宅ローン債権の買い取りと証券化を通じて、米住宅市場を支える中核的な役割を担う。2008年の世界的な金融危機の影響で経営が行き詰まり、米政府の管理下に置かれた。

最新データによると、ファニーメイとフレディマックは、投資家に売却せずに保有するMBS・ローンのポートフォリオが10月までの5カ月で、25%余り増加した。両社の保有額は合計で2340億ドル(約36兆2500億円)に達し、2021年以降で最も大きい。来年さらに最大1000億ドル増える可能性があるとアナリストは予想する。

トランプ政権の当局者は、MBS買い入れについて口を閉ざしているが、住宅コストの押し下げに向け、ファニーメイとフレディマックの住宅金融の力を活用したい意向を今年に入り繰り返し表明した。

米政策担当者は、政府管理下に置かれて20年近く経過したファニーメイとフレディマックを公開市場に復帰させる下準備も進めている。保有ポートフォリオの拡大は収益力を強化し、将来の株式公開の際、投資家にとっての魅力を高める公算が大きい。

GSEが保証・発行するエージェンシーMBS市場(9兆ドル規模)で、影響が主に顕在化している。GSEがMBSを次々買い取ることで、市場への供給フローが抑えられ、価格が支えられる。さらに利回りスプレッドが拡大する際にファニーメイとフレディマックが市場に参入すれば、ボラティリティー抑制効果が期待され、投資家のリスク評価の在り方を変えることも想定される。

ダブルライン・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ヴィタリー・リーバーマン氏は「住宅ローン金利を引き下げたい場合、最も直接的手段の一つが、GSEに住宅ローン証券を買い増すよう指示することだ。あらゆる手段を現政権は検討している」と指摘した。

Photographer: Al Drago/Bloomberg

ファニーメイとフレディマック、両社を管理下に置く米連邦住宅金融局(FHFA)の担当者に複数回コメントを求めたが、これまでのところ返答はない。

ファニーメイとフレディマックは、バランスシートのMBSと住宅ローン保有額が、最近数カ月で数十億ドル増えた

原題:Fannie, Freddie Quietly Add Billions to Mortgage-Bond Portfolios(抜粋)

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