イランの核施設に対する米軍の空爆は限定的な打撃しか与えなかったとの分析を米国防総省が示したが、トランプ大統領はこれを否定した。

トランプ氏は「イランの核施設は完全に破壊された」と自身のソーシャルメディアプラットフォーム、トゥルース・ソーシャルに投稿。国防総省の報告をいち早く報じたCNNとニューヨーク・タイムズ(NYT)については、「史上最も成功した軍事作戦をおとしめようと、結託している」と主張した。

この投稿後の25日、トランプ氏はオランダのハーグで開かれている北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で記者団に対し、報告の「結論は曖昧」だが、自身はなお施設が破壊されたと信じていると語った。

「報告が言っているのは、分からないということだ。打撃は非常に深刻だった可能性があり、それが報告の内容だ。自分はそれが正しいと思うが、分からないと捉えることもできるだろう。極めて深刻な打撃だった。壊滅させた」とトランプ氏は述べた。

動画:ハーグで記者団に話すトランプ米大統領

トランプ氏はまた、イスラエルが近く確固たる分析を出すことが可能になるだろうと示唆。ネタニヤフ首相が「人を派遣して全体の状況を把握させるだろう」からだと説明した。

米軍は22日、イラン中部フォルドゥ、ナタンズの地下ウラン濃縮施設、イスファハンの核施設を大型貫通爆弾(MOP、通称バンカーバスター)「GBU-57」などで攻撃した。

国防情報局(DIA)の報告書によれば、米軍の空爆は地下に設置された遠心分離機を含め、イラン核開発プログラムの中核部分を無力化するには至らなかった可能性が高い。非公開情報を理由に報告書の概要を知る関係者1人が匿名を条件に語った。

米国と欧州による評価に詳しい別の関係者もそうした分析内容を確認し、空爆による途絶は一時的なものにとどまるとの認識を示した。

しかし地表部分には相当な損傷が見られ、今回の空爆が核開発プログラムの進行を数カ月から最大1年遅らせた可能性はあると最初の関係者は述べた。

一連の分析は、オープンソースの衛星画像とも一致する。新たなクレーターやトンネル入り口の崩落とみられる様子、尾根の複数の穴が衛星画像で確認できるが、最も厳重に防護された地下施設が攻撃で破壊された確証は得られない。

だが、ヘグセス国防長官も攻撃は成功したとするトランプ氏の見解を支持。国防総省の報告は「暫定的」で、「信頼度の低い」ものだと述べ、情報が報道機関に漏れたことについて調査すると付け加えた。

トランプ氏は、イスラエルとイランが12日間続いた武力衝突を停止する合意を仲介した。24日の遅い段階で攻撃は数時間にわたり報告されておらず、合意は維持されているもようだ。

大統領はこれより先、特にイスラエルの「停戦違反」を非難し、「その爆弾を落とすな」と自身のソーシャルメディアで警告した。イスラエルとイランは相手が合意を履行する限り、自国も守るとしている。

 

ホワイトハウスのレビット大統領報道官は24日、戦果の初期分析自体の存在は否定しなかったが、内容に異議を唱え、情報リークはトランプ大統領と米軍の空爆の信用を傷つける試みだと反論した。

ウィトコフ米中東担当特使も同日夜のFOXニュースの番組で、米軍の作戦が目標を達成しなかったとの報道は「全くばかげている」と一蹴した。

イスラエルとイランとの緊張緩和への期待から原油価格は下落し、両国の交戦が始まって以降の上昇分をほぼ消失した。25日はニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物8月限が1バレル=65ドル前後で取引されている。

イスラエルとイランの「停戦違反」について記者団に語るトランプ米大統領(6月24日)

原題:Trump Disputes Pentagon View, Says Iran Sites ‘Destroyed’ (1)(抜粋)

--取材協力:Akayla Gardner、Maeve Sheehey、Erik Wasson、Courtney McBride.

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