イスラエルのネタニヤフ首相は9日、レバノンと直接交渉することに合意したと明らかにした。米国とイランの直接協議が11日に予定されている中、イスラエルによる親イラン民兵組織ヒズボラへの継続的な攻撃は交渉を損なう恐れがあり、動向が焦点となる。

ただしネタニヤフ氏は、ヒズボラとの戦闘は継続するとも表明した。イスラエルはヒズボラへの攻撃を激化させており、8日にはこれまでで最大規模の攻撃を実施。1カ月前の開戦以来、最も多い犠牲者数が出た。

イスラエル国防軍は9日、レバノンに対する攻撃回数を減らした。一方でネタニヤフ氏は、イスラエル北部の安全が確保されるまでヒズボラへの攻撃を続けると述べ、「レバノンに停戦はない」と動画声明で語った。

協議はレバノン側の要請によるもので、ヒズボラの武装解除と持続可能な和平合意の実現に焦点を当てるとネタニヤフ氏は述べた。また米国務省は来週、停戦交渉の継続について協議するため、イスラエルとレバノンとの会合を主催する見通しだと、同省当局者が明らかにした。

米イラン間の協議を仲介してきたパキスタンのシャリフ首相は当初、今回の停戦にはレバノンも含まれると述べていた。だがその後、米国とイスラエルの当局者はこれを否定している。

トランプ米大統領が繰り返し開放を求めてきたホルムズ海峡は、依然として事実上閉鎖された状態が続いている。船主らは重要な海上交通路の状況の明確化を待っており、通航量は戦前の水準を大きく下回っている。国営メディアは、イラン港湾海事当局が2つの安全航路を公表したと報じている。

トランプ氏は9日、SNSへの投稿で、「イランがホルムズ海峡を通過するタンカーに料金を課しているとの複数の報道がある」とし、「やめた方がいい。もし課しているなら、今すぐやめるべきだ!」と述べた。

さらに別の投稿では、石油の同海峡通過を巡るイランの対応について「非常に不十分だ」と批判し、「それはわれわれが合意した内容ではない」と述べた。

これに先立ちトランプ氏はNBCニュースとの電話インタビューで、イランとの合意に「非常に楽観的だ」との見方を示していた。イラン指導部について、公の発言から受ける印象より「はるかに理性的だ」と評価。トランプ氏はまた、前日に電話会談したネタニヤフ首相がレバノンでのヒズボラに対する空爆を「控えめにする意向だ」と述べた。

モジタバ師、米国に賠償を要求

米国とイスラエルが開始した戦争の初期に父親を殺害されたイランの新最高指導者モジタバ・ハメネイ師は、賠償を改めて要求した。これは米国の交渉担当者にとって受け入れがたい可能性が高い。

モジタバ師はテレグラムでの声明で、イランは「ホルムズ海峡の管理を確実に新たな段階へ引き上げる」と述べた。ただ、米国が拒否してきた同海峡の支配権維持要求を指すのかは不明。

9日の地政学的な動きは、中東全域を巻き込む戦争の長期的な終結に向けた合意の見通しに新たな疑念を生じさせた。

7日夜の停戦発表後、戦闘は8日も続いたが、米国とイランは大半の攻撃を一時停止したようにみられる。ただ9日夜には、クウェート外務省が、イランおよびその代理勢力による新たなドローン攻撃が国内の重要施設を標的に行われたと発表した。

バンス米副大統領は11日にパキスタンの首都イスラマバードで予定される協議で米代表団を率いる見通しで、イラン当局者は9日に現地に到着する予定だ。

しかし、イスラエルによるヒズボラへの継続的な攻撃は交渉を損なう恐れがある。イランのペゼシュキアン大統領は、イスラエルのレバノン攻撃は停戦の「明白な違反」であり、「交渉を無意味にする」と述べた。

イスラエル軍は9日、攻撃に先立ちレバノンの首都ベイルートの8地区の住民に避難を指示した。前日の大規模軍事作戦では300人以上が死亡した。

原題:Trump Ramps Up Threats Against Iran on Hormuz Before Talks (2)、Israel Talks, US Reassurance Indicate De-Escalation in Lebanon(抜粋)

(イスラエルの動向を加えて更新します)

--取材協力:Devika Krishna Kumar.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.