家計債務は家計所得の200%超 生産性はこの10年で横ばい
まず、住宅供給の不足です。
国は広く移民を受け入れ、人口が増加したにもかかわらず、人々の流入に対応できるほどの住宅供給を増やすことができませんでした。
パンデミック後に国境が再開されると、海外からの人の流入が大幅に増え、既存のものの価格、特に住宅に上昇圧力をかけ始めました。
土地の利用や供給が都市計画の規制によって制限されていること、そして手頃な価格の公営住宅が不足していることが、需要と供給の大きなギャップを生み出しています。
国民が家賃に割ける額は、少なくとも2008年以降で最低レベルとなっており、収入のかなりの部分が家賃や住宅ローン支払いに充てられているのが現状です。

次に、家計債務の増大です。
経済の健全性は、収入と支出のバランスで測られますが、オーストラリアの家計債務は家計所得の200%を超えており、これは世界でも最も高いレベルの一つです。
対照的に、米国はその約半分に過ぎません。
そして最も根深い問題の一つが、生産性の低迷です。
過去10年間で見るとオーストラリア経済の時間当たりGDPは横ばいです。
これは、生産性の向上がほとんど見られない10年であったことを意味します。
この傾向は統計にも明確に表れており、長年、米国を上回っていたオーストラリアの生産性成長率が、パンデミックを境に逆転してしまいました。
オーストラリア経済がサービス産業への依存度が高いことも、生産性が低迷した一因と指摘されています。
介護・福祉はオーストラリア最大の分野であり、障害者向けや高齢者向けサービスが大幅に増加していますが、これらの一部は鉱業や製造業といった他の産業に比べて生産性が低い傾向にあります。
また、経済にダイナミズムを注入し、生産性を向上させるのに重要なスタートアップへの資金調達も、一人当たりの資金調達額で見ると他国に大きく遅れをとっています。
