投資銘柄~「とりあえずインデックスファンド」の傾向~
つみたて投資枠で購入された銘柄は、全体でみると全世界株式に投資するインデックス型の投資信託が最も多い。
インデックス型とは、日経平均や米国のS&P500など、特定の指数と同じ値動きをするよう設計されたものである。
長期・分散・積立投資に適していることに加え、メディアやSNS上でも「とりあえずインデックスファンド」を推奨する情報が多く、人気の高い商品になっている。
つみたて投資枠の購入銘柄のうち、「投資信託(インデックス型)全世界株式(日本を含む)」が占める割合について、年代別でみると、20代以下で39%、30代は42%となり、日本を含まないタイプも合わせた割合はどちらも61%と、最も高い。
成長投資枠では、購入銘柄のうち日本の国内株式が占める割合が最も高く、全体では約48%である。
年代別にみると、20代以下は27%、30代は38%、70代になると71%で、年代による差が大きい。
若い年代ほど、成長投資枠でも、全世界株式のインデックスファンドを購入する傾向にある。
従来、投資においては「ホームカントリーバイアス」があるといわれてきた。
これは行動経済学の概念で、情報収集のコストや親近感などを背景に、海外投資よりも自国の株式などの資産に偏重することを指す。
国内株式の保有理由はバイアスだけではないが、若者は投資において「自国びいき」の感覚が薄いのかもしれない。
銘柄購入理由~企業への応援やESGが購入理由に~
先述のとおり、成長投資枠はつみたて投資枠よりも、国内株式はじめ幅広い銘柄が対象になる。そのため、その購入理由も多岐に渡る。
年代別にみると、「中長期的な株価の上昇が見込まれるから」と回答した割合は30代で27.3%だが、20代以下では21.2%となっている。20代以下は、「配当金/分配金が魅力的な銘柄だから」(17.1%)も他の年代より低い。
一方で、「その企業を応援したいから」(15.3%)、「地元の企業だから」(10.1%)と回答した人は他の年代より高い。
前節で、若者はホームカントリーバイアスが薄い可能性があると指摘したが、自国へのこだわりがなくても、身近に感じられる企業があれば投資する傾向が見受けられる。
ただし、これは金融リテラシーの不足ともいえる。
企業業績や配当金などの財務状況を十分に理解しないまま、イメージや知名度で企業の株を購入するというケースである。
少額の資金であれば、まず試しに投資してみることが金融リテラシー向上につながる経験になる場合もあるが、こうした選び方は資産形成のリスクにもなりうる。
また、多くはないが、「ESG投資」を投資の判断軸としている人もいる。ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素に配慮して投資先を選ぶ手法である。
図表は成長投資枠における購入理由だが、つみたて投資枠において「ESG投資を重視しているファンドだから/企業だから」と回答した割合は、20代以下は13%、30代9%、40代以上4.7%であり(図表省略)、若者のESG投資への関心の高さがうかがえる。