4人に1人がNISA口座保有
新NISAがスタートしてから1年半が経過した。2022年に政府が掲げた資産所得倍増プランは、NISA口座数を1,700万件(2021年3月末)から5年間で倍の3,400万件まで拡大させることを目標にしている。この目標に対し、2025年3月末時点では2,646万口座(銀行などを含むNISA取扱全金融機関)となっている。
図表1は、証券会社における年代別のNISA口座数と、人口推計をもとに算出した口座保有率の推計を示している。保有率は30代が約4人に1人と最も高い。また、従来は年齢が高いほど投資をする傾向にあったが、新NISAでは20代の保有率が50代以上よりも高い。
SNSや動画サイト上には、新NISAを分かりやすく解説した投稿が多数ある。こうした情報に日常的にアクセスできる環境も、利用促進の一因になっているだろう。
また、当研究所の調査によると、30代以下の74.7%が「自分の高齢期には公的年金に期待をしていない」と回答しており、将来不安も自助努力に向かわせる一因と考えられる。
2025年5月、日本証券業協会は、2024年に新NISAで金融商品を購入した7,610人を対象とする「新NISA開始後の利用動向に関する調査」を公表した。
以下、同調査結果を中心に、実際に10〜30代が新NISAでどのような投資を行ったのかをみていく。
利用投資枠~半数がつみたて投資枠と成長投資枠を併用~
新NISAには、長期の積立・分散投資に適した投資信託を対象とする「つみたて投資枠」と、上場株式や幅広い投資信託を対象とし一括投資も可能な「成長投資枠」がある。
つみたて投資枠は、毎月コツコツ積み立てる長期投資を利点とする。
その趣旨のとおり、つみたて投資枠のみ利用している割合は、投資期間を長くとれる20代以下が37.0%と最も高い。
さらに、成長投資枠と併用する人は20代以下と30代では半数以上いる。
たとえば、毎月の積立のほか、ボーナス時期などに一括投資を行う人が一定数いるのだろう。
なお、どちらの投資枠でも、年齢が低いほど1人当たりの年間平均購入金額も小さい。
特に成長投資枠では、20代以下と70代では倍近い開きがあり、年収や資産額に応じた投資額になっていることがわかる。