(ブルームバーグ):中国の指標となる10年物国債の利回りが、日本の同年限の国債利回りを下回る寸前となっている。実現すれば史上初の逆転であり、世界第2位の経済大国である中国が、1990年代の日本のようなデフレスパイラルに陥るとの懸念が再び強まる可能性がある。
中国の10年国債利回りは、ここ2カ月余りで最も低い水準近辺で推移している。経済指標の低調や株式市場の下落を受け、安全資産とされる国債への資金流入が続いているためだ。
一方で、日本の同期間の国債利回りは2008年以来の高水準に上昇している。政府の財政支出拡大がインフレを促進し、既に重い債務負担をさらに増やすとの懸念が背景にある。
こうした対照的な利回り動向は、経済の趨勢(すうせい)が大きく逆転したことを示している。投資家は現在、中国がかつての日本のように慢性的な停滞局面に入る一方、日本は長年のデフレからようやく脱却しつつあるとの見方を強めている。
米国との貿易摩擦が輸出の重荷となる中、北京が内需を回復させる力に対する市場の信認が弱まっていることも浮き彫りになる。
債券市場は既にこの変化を反映している。中国の10年国債利回りは1.81%、日本の同年限国債は1.77%となった。両者の利回り差は過去最小の水準に縮小した。
この歴史的な接近は、中国の利回り急落というよりも、日本側の利回り上昇によるものだが、この動きはアジア2大経済への投資戦略を塗り替える可能性がある。実際、その兆候は既に見えている。今年4-6月(第2四半期)には、海外投資家による日本国債の保有残高が2022年以来の高水準に達した。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、「景気のトレンドが、日本(の金利)は上方向、中国は下方向にある」と指摘し、日本の10年国債利回りが中国を上回る局面において「これから中国から日本への資金フローが増えると思う」と語った。
原題:China’s Key Bond Yield Set to Drop Below Japan’s for First Time(抜粋)
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